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爛熟プーホルスと新興ダルビッシュ。
~ア・リーグ西地区の注目新対決~ 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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photograph byAP/AFLO

posted2011/12/30 10:31

爛熟プーホルスと新興ダルビッシュ。~ア・リーグ西地区の注目新対決~<Number Web> photograph by AP/AFLO

超大型契約を結び、エンジェルス入りしたプーホルス

 レンジャーズがダルビッシュ有との交渉権を獲得した。エンジェルスがFAのアルバート・プーホルスと契約を結んだ。

 ア・リーグ西地区で巨額の金が動いた。25歳のダルビッシュには総額1億ドルを超える金が費やされるだろうし、31歳のプーホルスとは2億5400万ドル/10年の大型契約が締結された模様だ。

 ま、金額は驚くまでもない。それよりも興味深いのは、伸び盛りのダルビッシュが、野球人生の午後3時に近づきつつあるプーホルスとどういう勝負をしてみせるかだ。

8年間に渡ってメジャーの頂点に君臨する「最高の打者」。

 午後3時、という表現には違和感を抱く人がいるかもしれない。

 プーホルスは、現役最高の大リーガーだ。それも、昨日今日の話ではない。2002年から'10年にかけて、彼は「最高の打者」として球界に君臨しつづけてきた(バリー・ボンズのピークは2001年だった)。

 なにしろ数字が凄まじい。大リーグ生活11年間の通算打率が3割2分8厘、出塁率が4割2分、長打率が6割1分7厘、OPSが1.037、打点が1329、本塁打が445。

 この数字は、あの大選手ミッキー・マントルやウィリー・メイズの「最初の11年間」をしのぐものだ。マントルは、1951年から'61年にかけて374本塁打、1176打点を記録し、OPSが0.996だった。メイズにしても、同じ時期には本塁打=368、打点=1078、OPS=0.958という数字にとどまっている。

プーホルスがこれから辿る道はマントルか、メイズか?

 ただ、ここから先の話がやや微妙だ。

 マントルは度重なる故障に苦しめられ、'65年以降は下り坂になった。

 一方のメイズは晩成型の特徴を発揮し、35歳の'66年まで「高原相場」ともいうべき長いピークを保った。'65年などは、本塁打=52、打点=112、OPS=1.043という堂々たる数字を残している。いや、もっと寛容な尺度を導入すれば、彼の場合は40歳まで一流のプレイヤーだったというべきかもしれない。

 '12年1月16日に32歳になるプーホルスは、どちらの道を歩むのだろうか。

【次ページ】 歴史に残る強打者の多くも寄る年波に勝てなかった……。

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