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本物の強さを証明した柏がJ1初制覇!
名古屋、G大阪の戦い方と徹底比較。 

text by

猪狩真一

猪狩真一Shinichi Igari

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photograph byToshiya Kondo

posted2011/12/05 12:15

本物の強さを証明した柏がJ1初制覇!名古屋、G大阪の戦い方と徹底比較。<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

「2年間ついてきてくれた選手に心から感謝したい。そしておめでとうと言いたい。シーズンでやってきたことを今日も出してくれた」。優勝の記者会見でも、最後まで選手を褒め称えていたネルシーニョ監督

遠藤のケガの影響もあって、全体の意識を守備よりに。

 またG大阪は、後半戦に攻守のバランスを変えることもできていた。ラフィーニャ加入以前、特に中盤の守備の要である明神智和がケガで戦線を離れていた時期には、果敢な攻撃姿勢と手薄になった守備とが表裏一体となった大量得点・大量失点の出入りの多いゲームを続けていた。しかしラフィーニャの加入以降は、遠藤がケガを抱えながらプレーせざるを得なかったという事情もあってか、全体の意識をやや守備側にシフト。チャンスや得点を減らしながらも、失点をそれ以上に減らし(特に遅攻からの失点が減った)、より高い確率で勝点3を獲れるような新たなバランスを作り出したのだ。

グランパスは高さを活かしたセットプレーからの大量得点を実現。

 ディフェンディングチャンピオンとしてシーズンに臨み、連覇は逃したが2位となった名古屋にも、シーズン半ばから、勝点3を奪うためのより現実的な戦い方を見出した感がある。

 前半戦の名古屋は、大方のイメージに反して、サイドからのハイクロスによる得点はきわめて少なかった。清水エスパルスから藤本淳吾を加えた攻撃陣は、丁寧にパスを回してポゼッションし、ケネディの足下でのポストプレーを織り交ぜながら中央突破を狙う。そうしたショートパスでの崩しのコンビネーションを積極的に作り上げようとしていた印象が強かった。

 しかし後半戦に入ると、連覇達成を強く意識したためか、攻撃パターンは一変する。ケネディの頭を狙ったシンプルなクロスが増え、同時に、そのケネディや闘莉王、増川隆洋といった空中戦の強者たちを活かしたセットプレーからの得点も倍増。後半戦のセットプレーからの得点比率は、実に全体の40%を上回った。前半戦で9得点を挙げた玉田圭司が後半戦は5得点にとどまったことも、チームの攻撃パターンの変化を示している。

 コンビネーションによる崩しを模索しながらも、結果にこだわることを意識し始めた瞬間から、自分たちの最大のストロングポイントである個の強さや高さを活かした戦いに立ち戻れる。名古屋を優勝戦線へと押し上げたのは、そうした二枚腰的な強さだった。

 では、クラブ初のJ1制覇を成し遂げた柏は、どこで他チームに差をつけたのか。

【次ページ】 ネルシーニョ監督が2年間で着実に積み上げてきたもの。

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