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ダルビッシュと3年目の壁。
~早期メジャー移籍を望む理由~ 

text by

芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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photograph byHideki Sugiyama

posted2011/12/02 11:30

ダルビッシュと3年目の壁。~早期メジャー移籍を望む理由~<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

クライマックスシリーズ第1戦が日本での最後の投球となるのだろうか

MLBで流布する「日本人投手3年目の壁」説の根拠とは?

 大リーグに眼を転じると、'05年以降、こういう投手は絶滅した。というより、ベンチがそんな暴挙を許さなくなったのだ。ちなみに、120球以上/15試合を最後に体験したのは、'05年当時ワシントン・ナショナルズに在籍していたリバン・エルナンデスである。

 現在、大リーグに広く流布する「日本人投手3年目の壁」説の根拠は、大体ここに置かれている。要するに投げすぎ。肩は消耗品だから大事に使わなければならないのに、日本野球の強引さと球団に対する献身的姿勢が投手の短命を招いているというわけだ。

3年限界説を打ち破るには、いま渡米するしかない。

 ダルビッシュはこの壁を破れるだろうか。いま渡米すれば破れる、と私は思っている。

 まずフィジカル面では、彼は問題ない。196センチ、98キロの体型はほぼ理想的だし、腕の長さは大リーガーに混じっても遜色がない。しかも彼には変化球の種類が多い。決め球の高速スライダーはもとより、カッター、カーヴ、チェンジアップがどれも一級品だ。被本塁打数が('10年も'11年も)年間5本にとどまったのは、球が低めに集まっていることと変化球の切れがよいことの証明にほかならないだろう。

 これだけの技量があれば、使用球のサイズやストライクゾーンのちがいやマウンドの硬さの差などは苦もなく克服できるにちがいない。

「ウィ・ラヴ・ユー(有)」の横断幕が球場に踊る日は……?

 となると、最後の問題はやはりメンタル面だろうか。言葉の壁(日本で生まれ育ったとはいえ、イラン人の父親と日本人の母親はフロリダで出会っているのだし、英語はかなりわかるはずだ)、食生活、住居の問題……数え上げればきりがないが、3年目の壁を突破したドジャースの黒田博樹などは、渡米早々、南カリフォルニアに家を購入し、子供も現地の小学校に通わせてアメリカの生活に溶け込んだ実績がある。

 だとすれば、ダルビッシュにもできない相談ではない。黒田とちがって、食生活の面などで家族の協力を得られないという点がちょっと気がかりだが、この辺はなんとか切り抜けてくれるだろう。

 私が期待しているのは、彼が、頭脳派として知られたデヴィッド・コーンと剛腕ジャステイン・ヴァーランダーの中間に位置するような投手になってくれることだ。「フー・イズ・ユー?」ではなく「ウィ・ラヴ・ユー」のバナーが球場に踊る光景をいまから想像するのは、あまりにもせっかちだろうか。

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#北海道日本ハムファイターズ

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