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セルビア戦で世間を味方にできる?
今こそ岡田監督は新メッセージを! 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byToshiya Kondo

posted2010/03/28 08:00

セルビア戦で世間を味方にできる?今こそ岡田監督は新メッセージを!<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

セルビア戦では「今のJのプレーぶりを見て、これから代表が戦うW杯で、必要になる選手。あんまり僕が“つかんでいない”選手を呼びたいし、使いたい」と語っている岡田武史監督

何もしなくても日本代表がもてはやされる時代の終焉。

 ここ数年、日本代表と「12番目の選手」たちの関係は形を変えつつある。

 トゥルシエ時代、それにジーコ時代の平均観客試合動員数(ホーム)はいずれも4万9000人を超え、その人気ぶりは尋常ではなかった。ドイツW杯以降は徐々に世間の関心度が下がっていき、オシム時代には1試合平均4万3000人、そして岡田ジャパンになってからはバーレーン戦までの27試合で41試合平均4万人をわずかながら割っている。どんなカードでも満員御礼となる時代ではなくなったということだ。

「お客さんのことに関しては、そこまで背負いきれないところが私にはあります。いろんな事情があるとは思うが、それに対してお客さんを呼ぶために人気のある選手を使うとか、そういうことではなくて、強いチームをつくっていくことが使命だと思っている」

 2月の中国戦でスタジアムの不入りを質問されたときの岡田監督のコメントは、偽りのない本音だと思う。チームの強化こそがファン、サポーターの望む道。その至極真っ当な考えに異論を挟む余地はない。

岡田監督はいまこそ世間に自らの言葉を発信すべき。

 だが、熱狂の歴史を知る指揮官であればこそ、プラスアルファの力を生み出すサポーターやファンの力も分かっているはずである。時と場合によっては、彼らの力を引き出すための演出があってもいいのではないだろうか。そして今が、そのときだと思う。

 岡田監督は昨年、最終予選を突破して臨んだカタール戦のあと、6万の大観衆に向かってW杯出場を決めた報告をした。彼はマイクを握る前に深々と頭を下げた。まずはカタール戦の試合内容を詫びたのだった。

「いい試合を見せたかったが、選手を活かしてやれませんでした。本当に申し訳ございませんでした。こういう試練を教訓にして次に進んでいきたい」

 この指揮官の引きつった声に、スタンドのファンは黙って聞いていた。指揮官の心に触れた6万の観衆はその後で拍手を送っている。おそらく「W杯に行くことができました!」と笑顔で報告していたら、ファンは冷めたブーイングを浴びせていたに違いない。W杯で躍進するためには、こんな試合をしちゃいけない。ファン、サポーターの複雑な思いを汲み取ったメッセージの効果は十分にあったように思う。

 指揮官にひとつ提案がある。

 セルビア戦が終わった後、もう一度、観衆に向けてメッセージを発してみてはどうだろうか。「ベスト4」という大望が、今なおチームと世間で「一体」となっている感がない。壮行試合の韓国戦ではなく、ファンの関心が再び向き始めているこのセルビア戦で熱く決意を語ってこそ、「一体」となるうねりを生み出すことができるというものだ。

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