球道雑記BACK NUMBER
いきなり監督で大丈夫!?
日本ハム栗山新監督、名将の可能性。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKYODO
posted2011/11/26 08:01
目指す野球は「ハラハラドキドキする野球」という栗山監督。「今後10年間は4番を打てる、長打力があって率も残せる選手を育てるのが課題」と、さっそく来春の方針を披露している
球界では異例の留任組閣人事でチームをひとつに。
しかし、そうしたハンディに打ち勝てとばかりに、栗山氏はさっそく動き出している。
そのひとつが来季の組閣人事についてである。
新監督就任の場合、大抵、腹心のコーチを何人か連れて来るのが球界の通例になっているのだが栗山氏は今回それをしなかった。
入れ替えも'02年から'05年まで一軍打撃コーチをしていたスカウトの渡辺浩司を復帰させ、打撃コーチと兼任だった福良淳一ヘッドを専任に、三木肇二軍内野守備コーチを一軍内野守備コーチへ昇格させただけに留め、全てチーム内で行った。
「これだけ結果が残っているチームです。すばらしい指導者がいて、選手とコミュニケーションが取れていて、前に進んでいるものを、僕がどう教えていくか、わからない部分も正直あります。結果を残しているコーチ陣を僕も尊敬もしているので、(彼らのことを)わかりもしないのに代えるというのは、根本的に違うと思う。今回は信頼して、コーチのみなさんによろしくお願いしますと伝えました」
「短期、中期、長期で、モノが考えられるフロントは大事」
実際に選手側からしてみると、首脳陣の入れ替わりは必ずしも良い方向に転がる話ではない。新任コーチが言うままにポイントを変えて練習をしてみたら調子を崩し、そのまま選手が使い捨てにされたなどという話もよく聞く話だ。
北海道日本ハムは仮にも今年パ・リーグ2位の結果を残しているチームである。
なかでもチーム防御率リーグ2位の投手力は、大きなテコ入れをする必要もないだろう。栗山氏も現状の良い部分を生かしつつ、選手たちに余計な気を使わせないよう配慮したのではないだろうか。
「選手という立場と取材者という立場で見たときに、今回監督が替わってシステムが替わって、上からいわれることが違ってくると、選手を苦しめることにもなると考えました。(無理矢理替えた)そういうシステムは長いスパンでは機能しないと思いますし。短期、中期、長期で、モノが考えられるフロントは大事ですし、きちんと将来を見据えてチームを作っていかないと」
今いる有能な人材を活かす。これは栗山新体制のひとつの方向性だ。それを強く感じさせたのが千葉県・鎌ヶ谷市で行われた秋季練習である。