Jリーグ観察記BACK NUMBER
優勝と残留をかけたJリーグの終盤戦。
天下を分ける“33節”と“五輪代表”。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byToshiya Kondo
posted2011/11/07 10:30
ナビスコカップ決勝では後半5分に2枚目のイエローカードで退場し、試合後は涙を浮かべた浦和の山田直輝も、五輪代表での活躍が期待される選手。A代表でも出場歴があり、五輪代表では8月10日のU-22エジプト戦で得点を決めた
プロよりもU-22を優先する日本サッカー界の非常識。
どの選手も五輪代表の関塚隆監督にとっては欠かせない選手だろう。だが、プライオリティーがU-22の、それも地区予選に置かれることはヨーロッパのプロリーグの常識ではありえない。
すでに強化担当者会議の決定事項なのかもしれないが、会議が行われた10月中旬から状況は変わっているのだ。当該チームは前言を撤回してでも、招集を拒否すべきではないだろうか。でないと、クラブのサポーターにもスポンサーにも失礼だ。
特に浦和は監督が交代したばかりであることを考えると、1人でも招集されるのは痛い。濱田は関塚監督の下でセンターバックのレギュラーとして起用されているが、浦和の堀孝史監督もこの技術に優れたセンターバックを先発させている。浦和の控えにはオーストラリア代表のスピラノビッチがいるからいいという見方もあるかもしれないが、招集されている間にDF陣にケガ人が出ないとも限らない。選手が必死にピッチで戦っているのだから、フロントもチームのために戦うべきだろう。浦和のフロントにとっては腕の見せ所だ。
リーグ終盤は1年間の集大成であり、魅力をアピールする絶好の機会なのだ。各クラブも、日本サッカー協会も、もっとJリーグを優先するという意識が強くてもいいはずだ。
ラスト3試合、今回あげた2つのポイントがどう影響するか、心理的な攻防と駆け引きに注目してみようと思う。