Jリーグ観察記BACK NUMBER
優勝と残留をかけたJリーグの終盤戦。
天下を分ける“33節”と“五輪代表”。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byToshiya Kondo
posted2011/11/07 10:30
ナビスコカップ決勝では後半5分に2枚目のイエローカードで退場し、試合後は涙を浮かべた浦和の山田直輝も、五輪代表での活躍が期待される選手。A代表でも出場歴があり、五輪代表では8月10日のU-22エジプト戦で得点を決めた
いよいよJ1も残り3試合になった。W杯3次予選のタジキスタン戦と北朝鮮戦が行なわれるAマッチデーをはさんで、11月19日・20日に32節、11月26日・27日に33節、12月3日に最終節が行なわれる。優勝争いは柏レイソル、ガンバ大阪、名古屋グランパスの3チーム、残留争いはヴァンフォーレ甲府、浦和レッズの2チームが絡むことになりそうだ。
残り3試合の日程を見ると、いくつかポイントになりそうなことがある。1つ目は33節の日程だ。
2チームでの残留争いは、日程的に甲府が有利に!?
一般的にどの国のリーグでも、最終節は同じ日の同時刻に行なわれる。異なる時間に開催すると、後で試合をするチームは優勝や残留に必要な勝ち点を計算することができ、有利になるからだ。当然Jリーグも、最終節は同日同時刻キックオフになっている。
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ただし、最終節の1つ前の節となると、扱いは国によって違ってくる。ブンデスリーガとリーガエスパニョーラは最終節の1つ前も同日同時刻キックオフにするが、プレミアリーグとセリエAは同時刻にこだわっていない。Jリーグの場合は後者の立場で、今季の33節で言えば、7試合が11月26日(土)に行なわれ、残り2試合が翌日(日)に行なわれる。
その2試合とは、甲府対新潟と、神戸対磐田。そう、甲府は残留争いのライバルとなる浦和(対福岡)の結果を見てから試合ができるのだ。こういう日程になったのはたまたまだが、甲府としてはこの状況を利用しない手はないだろう。その時点での勝ち点差を計算して、ゲームプランを練ることが求められる。
五輪代表に選手を供出するチームの戦力低下は否めない。
2つ目のポイントは、ロンドン五輪アジア最終予選との兼ね合いだ。
日本は11月22日にアウェーでバーレーンと、27日にホームでシリアと対戦する。11月18日からドーハで合宿するため、メンバーに選ばれた選手はJ1の32節と33節に出場することができない。
日本サッカー協会とJリーグの強化担当者たちの話し合いにより、今回の予選2試合に関しては「各チームから2人までしか選べない」という制約が設けられることになった。これまでは「3人まで」という制約だったので、日本サッカー協会側が譲歩した形になる。
しかし、いくら1人減ったとはいえ、2人選出されればチーム力が落ちないわけがない。優勝争いの柏は酒井宏樹と茨田陽生、名古屋は永井謙佑と金崎夢生、残留争いの浦和は濱田水輝と山田直輝(原口元気は11月上旬にA代表に招集されたため選考対象から外すことが決まった)、甲府は吉田豊が選ばれる可能性がある。