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ソ連時代のフィギュア王国復活へ!
ロシアのソチ五輪金メダルへの道。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2011/11/05 08:01

ソ連時代のフィギュア王国復活へ!ロシアのソチ五輪金メダルへの道。<Number Web> photograph by AFLO

スケートカナダでGPシリーズ初出場初優勝を達成したトゥクタミシェワ。プルシェンコやヤグディンを育てた名指導者ミーシン氏に指導を受けている。次戦はGP第5戦のフランス杯で、村上佳菜子らと対決する

ソ連崩壊とともに強化育成の予算が断たれていた。

 ロシアのフィギュアスケートは、2006年のトリノ五輪を最後に、不振に苦しんできた。2007年、東京での世界選手権のときには、男女ともに10位以内に一人も入れず、ペア、アイスダンスを含めてもメダルなしに終わったのは象徴的だ。

 2010年のバンクーバー五輪も同様だ。

 エフゲニー・プルシェンコの銀メダルとアイスダンスのオクサナ・ドムニナ&マキシム・シャバリンの銅メダルこそ獲得したが、金メダルはなし。12大会連続で金メダルだったペアでメダルを逃したのは、驚くべきことだった。

 ロシアのお家芸とも言われたフィギュアスケートで、ここまで低迷した理由は、ソ連が崩壊し、ロシアへと変わったことにある。国家が豊富に強化育成のために資金を投下し、そのもとで築かれていた強化体制が崩れたのである。

プーチンの号令一下、ソチに向けた強化策が進行中。

 ロシアスケート連盟の会長だったピセーエフ氏が、「ロシアの力の源泉はコーチの能力の高さにありました」と語るほどだった優秀なコーチは続々と海外へと出て行った。バンクーバー五輪に取材に行ったときに海外の記者からは、「ロシアのコーチは、いまや海外に広く渡っている。北米だけで3桁のロシア人コーチがいる」ことを教えられた。

 コーチの流出とともに、強化資金に苦しんだ時期があったとその記者は語っていた。スポンサーを獲得しようにも、選手の育成のような地道な部分より競技大会やショーのような目立つ部分にスポンサーはつきやすい。ジュニアを育てるスクールの閉鎖も続いたという。育成に穴が開き、ロシアは低迷していった。

 だが、次のオリンピックはソチでの開催である。自国開催での失敗は許されない。だからロシアは、ソチ五輪を見据えたうえで、バンクーバー五輪でも、2006年のトリノを大幅に上回る強化資金を投じていた。額はトリノの4倍とも5倍ともいわれている。バンクーバーでは成果は出なかったが、その効果として、ソチに向けての強化が進みつつあると感じさせるのが、フィギュアスケートの若手の台頭である。

 ましてやロシアの政治的指導者は、あのプーチンである。バンクーバー五輪後、「オリンピックに出場するのは勝つためにほかならない」と代表選手やコーチたちを一喝したが、強力なリーダーシップでもって、さらに強化を進めることは容易に予測される。

【次ページ】 女子フィギュアの再興でロシアは五輪の盟主に返り咲く。

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