MLB東奔西走BACK NUMBER
レンジャーズを支えたチームリーダー、
マイケル・ヤングの“滅私奉公”。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2011/11/01 10:30
レギュラーシーズンは159試合に内野手、指名打者で出場し213安打、107打点、打率.338とリーダーとしてチームを牽引した。ワールドシリーズでも一塁手、指名打者として全試合に出場。27打数7安打3得点の活躍で、世界一まで後一歩のところまで迫った
シーズン途中加入の選手がすぐチームへ馴染める理由。
建山義紀投手をはじめとする今シーズンから加入した選手たちも、いとも簡単にチームに溶け込み、常にチームとしての一体感が感じられた。だからこそベルトレをはじめ、マイク・ナポリ、ヨルビト・トレアルバなどレンジャーズ1年目の選手たちが、期待通りに自分たちの力を発揮できたのではないだろうか。
かつてジャイアンツがワールドシリーズに進出した2002年シーズンに、チームリーダーのバリー・ボンズとジェフ・ケントがベンチでつかみ合いの大立ち回りをしたことがあった。当時何度かジャイアンツの取材をした機会があったが、クラブハウスはすべての選手が常に笑顔でいられるような雰囲気ではなかったように記憶している。
人一倍練習熱心なヤングは若手選手の生きた教科書。
さらに、ヤングの日頃の行動が、他の選手たちに好影響を与えているように思う。
ここまでの人物評を見てもらえば簡単に想像できることだが、ヤングは人一倍練習熱心だ。本拠地、敵地にかかわらず、各チームのクラブハウスは試合開始3時間30分前にメディアに開放されるのだが、我々が赴く頃にはほぼ間違いなくヤングは球場入りし準備を整えている。もちろん若手選手たちも自然と彼に従うかのように早くから練習に取り組んでいる。
ロン・ワシントン監督が「彼はクラブハウスでもベンチでもグラウンドでも我々のリーダーだ。まさにプロフェッショナルの一言に尽きる」と全幅の信頼を寄せているように、若手選手にとってこれ以上の生きた教材は存在しないだろう。
ヤングの存在は我々メディアにとっても見逃すことはできない。彼はチームや自分の調子にかかわらず、試合前も試合後も率先してメディアの前に立ち続ける。時には我々日本人メディアが尋ねる日本人選手関連の質問に対しても、嫌な顔一つせず丁寧に答えてくれる。やはりそんなヤングを反映してなのか、メディア対応に関してもレンジャーズのほぼ全選手が友好的なのだ。いうまでもなく我々メディアにとっても、居心地のいいクラブハウスであり続けた。