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2強vs.反乱軍の放映権料争いに矛盾。
バルサとレアルの支配構造に変化は? 

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横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

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photograph byMutsu Kawamori

posted2011/09/22 10:30

2強vs.反乱軍の放映権料争いに矛盾。バルサとレアルの支配構造に変化は?<Number Web> photograph by Mutsu Kawamori

UEFAによるリーグランキングでプレミアに次いで2位につけているリーガ・エスパニョーラ。テレビ放映権料の分配という大きな問題を、人気・実力のあるうちに処理しておかないと……

「観たいのは2試合だけというならそれでもいいが、サッカーにとっては良いことじゃない。3、4年待とう。とにかく、この状況を変えないと、我々はスペインサッカーを殺すことになる」

 物騒な発言をしたのはビジャレアルの会長フェルナンド・ロイグ。“2試合”というのはバルセロナとレアル・マドリーの試合のことだ。

 続いてセビージャのホセ・マリア・デル・ニド会長が声を荒らげた。

「リーガ・エスパニョーラは世界で最もくだらないリーグだ。戦っているみんなのものであるテレビ放映権料を、2つのクラブが持っていってしまう」

 バルサとマドリーばかりが優遇されるテレビ放映権料の分配に対する不満。ロイグの言葉の裏にあるのもこれである。

2強と最下層チームとの放映権料の収入差は11倍以上も。

 昨季を例にすると、2強はそれぞれ約1億4000万ユーロ(約148億円)を受け取った。次に多いのはアトレティコとバレンシアで約4200万ユーロ(約44億円)。その次がビジャレアルで約2500万ユーロ(約26億円)。セビージャは約2400万ユーロ(約25億円)だから、文字通り桁が違う。

 ラシンやスポルティング、マラガ、レアル・ソシエダ、レバンテなどの最下層グループは約1200万ユーロ(約12億7000万円)しかもらっていないので、格差は実に11倍以上にもなる。

 これでは勝負にならない。優勝争いに加わるなんて夢のまた夢。2強ばかりが強くなりリーガ全体は弱体化していく、とロイグやデル・ニドは憤る。

 不公平の原因は額の決め方だ。リーガでは、放映権料の交渉は各クラブが各自で行う。まとめて売り払い、上がりを分配する他国のリーグとは異なる。

 そこでデル・ニドは有志による会議を開催し、反乱軍を立ち上げた。当日欠席したクラブもあるが、実質的には2強を除く全18クラブが叛旗の下に結束したと言っていい。彼らは今後放映権を一括して売却するようリーガに働きかけていくという。模範とするのは放映権収入トップと最少の差が1.5倍程度しかないプレミアだ。

【次ページ】 放映権料の差が勝敗を決めるという主張は正しいのか?

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