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尾花新監督は横浜を変えられるのか?
問われる「名参謀」の“決断力”。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2010/03/14 08:00
1976年にPL学園高校を卒業している尾花監督。PL出身者としては初のプロ野球の監督となる
名将たちの決断を間近で見てきた経験は活かされるか?
しかし、これからは他者から進言されることはあっても、今までのようにすることはできない。決断するのは監督である尾花本人なのだ。
尾花は今まで数多くの名将を見てきた。野村克也、王貞治、原辰徳。彼らがゲームで何を考え、重要な局面でどのような決断を下したか? そういったところも、冷静に見てきたはずだ。
たった1イニングで勝敗の行方がガラリと変わる。
あの試合で得た教訓も大きかったのではないだろうか。
'08年の日本シリーズ第7戦。2対1と巨人がリードしていた7回、3番手の越智大祐は西武打線を0点に抑えた。尾花はこの時点で原に、「次のピッチャーいけます」と交代を促がしたが彼は続投を選んだ。8回のピンチの場面でも進言したが、指揮官は首を縦に振らなかった。結局、チームは逆転され、日本一を逃した。
決断力は紙一重。原の「続投」という答えが間違っていたわけではない。結果として負けたに過ぎない。
監督となった今年、ペナントレースでそのような局面を迎えた際、どのような決断を下すのか。そういったところにも注目していきたい。
オープン戦では最下位。やはり「今年もダメ」なのか?
ただ、監督で勝てるほどシーズンは甘くない。昨年、両リーグを通じて最下位の打率2割3分9厘、11位の防御率4.36を残してしまった選手たちが、ヤクルトで「野村野球」を熟知し、ダイエー、巨人で常勝軍団の帝王学を学んだ指揮官の野球にどれだけついていけるか? 最終的に重要となってくるのはそこだ。
オープン戦が本格的に始まった3月。相変わらずの不調ぶりにファンは落胆してしまう。「今年もダメか」と。
しかし、今はまだ1、2年目を中心とした若手を率先して試している状態。手探りの段階ともいえるこの時期に、シーズンの行く末を判断してしまうのは早計だ。
仮に、新人監督以上にプレッシャーを感じているのが、選手たちであったにしても……。