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“真弓色”なき阪神が迷走状態?
岡田監督だったら……と考える理由。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byTamon Matsuzono
posted2010/03/15 10:30
昨季はクライマックスシリーズ進出も逃している真弓監督。今年のスローガンは「Focus on this play,this moment!!(そのプレイ、その一瞬に集中せよ!)」で、昨季と同じもの
危うい気がする。
「真弓阪神」のことである。
昨年オフ、大枚をはたいて城島健司を獲得したとき、球団関係者がこんな風にぼやいていた。
「ちょっと前の巨人みたいやなあ……」
確かに。
大砲が欲しいというのはわかる。あれだけの選手だ、その資金があるのであれば、当然、手を挙げるべきだろう。だが、問題はポジションだ。
大ベテラン、矢野輝弘がいるポジションである。昨季、その矢野が故障で出遅れたため、代わって127試合に出場した成長株の狩野恵輔がいるポジションである。
また阪神のような伝統のある球団に、自己主張の強い、パ・リーグで育った選手がスムーズに溶け込めるかどうかもわからない。
前述の関係者が続ける。
「控えが腐るような補強は、長い目で見たとき、いいことはない……」
城島の加入で山積するマイナス材料を補いきれるか?
もちろん、2年契約の真弓監督に「長い目で見ろ」というのも無理な話だ。ただ、いかんせん急場しのぎの感は否めない。
しかも、昨シーズンと比較したとき、城島が加入した以外のプラス材料が見つからないのだ(城島がどれぐらいプラスになるかも未知数)。新人の二神一人と藤原正典の評判がすこぶるいいが、ルーキーを当てにするわけにはいかない。
一方で、マイナス材料だけはいっぱい出てくるのだ。
まずは、赤星憲広の引退。外野の守備力、機動力において計り知れないマイナスになる。近年、言われ続けていることだが、金本知憲、下柳剛、桧山進次郎といった主力の高齢化。藤川球児、久保田智之らブルペン陣も全盛期ほどの迫力がない。そうそう、昨季75試合も登板した貴重な中継ぎ投手、アッチソンも退団してしまった。また、連続フルイニング出場がかかっている金本が不調に陥った場合、真弓監督はどう対処するのだろう。
明るい材料が少ない割に、悩み事だけは尽きないのだ。
投手力、攻撃力、機動力で考えた場合、現時点で上積みが期待できるのは、城島が加わったことで長打率が上がる攻撃力ぐらいのものではないだろうか。