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ファーガソンによる世代交代が成功。
次世代のマンUの姿が見えてきた! 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byREUTERS/AFLO

posted2011/09/01 10:30

ファーガソンによる世代交代が成功。次世代のマンUの姿が見えてきた!<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

トッテナム戦でゴールを決めたアンデルソンは23歳。アシストは20歳のウェルベック。25歳のルーニーがベテランに見えるほどの若いチームが再び欧州の頂点を目指す

約20億円の移籍金で獲得したCBジョーンズはお買い得?

 トッテナム戦では、CBのジョーンズも19歳とは思えぬ安定した守備で零封勝利に貢献している。カウンターから快足のガレス・ベイルに走られた危機を、見事な追走とスライディングタックルで回避した70分の場面は圧巻だった。かと思えば、前半早々の7分からボールを持って上がり、クレバリーのミドルシュートが相手ゴールを脅かしたチャンスを演出。堂々たるホームでの先発デビューに、マンUファンの間では、早くも「ブラックバーンに払った約20億円の移籍金は安い」と言われている。

 試合後のファーガソンが、「リオ(・ファーディナンド)とネマニャ(・ビディッチ)は怪我が癒えてもうかうか出来ないな」と笑顔を見せた背景には、右SBとして攻守に効いていたクリス・スモーリングの活躍もある。フルアムから移籍して2年目の21歳は、DFとしての秀逸な頭脳を持つ。抜群の学習能力を備えていればこそ、4年前まではセミプロの下部組織にいた事実が嘘のような急成長がある。もちろん、193センチ・89キロの体格も大きな魅力。コミュニティ・シールドでは、同世代だがレギュラー格のラファエウ・ダ・シウバの故障前だったにもかかわらず、セットプレーで高さを武器にするマンC対策として、本職はCBのスモーリングがSBで起用されたほどだ。

「攻撃的GK」ダビド・デ・ヘアがカウンターの起点に。

 最後尾に控えるダビド・デ・ヘアは、コミュニティ・シールド、開幕戦とミスによる失点が続き、無失点で終えた第2節でも、ミドルシュートをこぼしたり、ハイボールを競り負けたりする場面が見られた。だが、集中力の維持と肉弾戦への対応は、実戦を重ねることによって改善できるだろう。一方で、20歳の新守護神が持つ「攻撃的GK」としての実力は既に明らかだ。例えば、トッテナム戦で勝利を確定した2点目は、捕球直後の矢のようなスローに端を発している。GKを起点にウィンガーがドリブルで駆け上がっての速攻は、マンU伝統のカウンターそのものだった。

 シュートで攻撃を締め括ったアンデルソンは23歳。ボールを運んだ新ウィンガーのヤング、対翼で先発したナニ、ポジション争いに復帰間近のアントニオ・バレンシアらも、揃ってまだ20代半ばだ。若手には主に精神面での疲労に伴う好不調の波が付き物だが、現在のマンUには、ローテーションによるコンディション管理を可能にするだけの若い駒数もある。

【次ページ】 今年26歳のルーニーだが若手への影響力はカントナ級?

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