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ブンデスの古豪がついに復活!
大津祐樹所属のボルシアMGの改革。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2011/09/02 10:30
2勝1敗1分(4節終了時点)の勝ち点7で5位につけるボルシアMG。4試合で失点3と堅守速攻スタイルで上位を目指す
長きにわたり低迷を続けていた古豪ボルシア・メンヘングラッドバッハ(ボルシアMG)が、今季の台風の目になるかもしれない。
昨季は開幕から低空飛行を続け、2部との入れ替え戦を制してどうにか1部残留を決める体たらく。'70年代にリーグ優勝5回、UEFAカップ優勝2回、CL準優勝1回を誇る古豪の面影はなかった。
しかし、今季は勢いがある。開幕戦でバイエルンをアウェーで下すと、シュツットガルトとの引き分けをはさみ、第3節ではヴォルフスブルク相手に4対1の完勝。13年ぶりに首位に立った。今季からボルシアMGに加入した大津祐樹は、ヴォルフスブルク戦のあとに「今日のサッカーは楽しかったですね」と感想をもらしている。大津はまだ出場機会を得られていないが、これだけチームが好調なのだ。焦らずに、機会をうかがうしかないだろう。
守備固めに注力するファブレ監督の改革で失点は大幅減。
順調な滑り出しの理由は、昨季途中の2月に就任したスイス人監督ファブレの指導が効果を挙げているからだ。ファブレは、FCチューリッヒの監督として名を挙げ、3シーズン前にはヘルタ・ベルリンを率いてシーズン終盤までチャンピオンズリーグ出場権を争った実績を持つ。最終的には4位に入り、ヨーロッパリーグ出場権をもたらした。
彼がボルシアMGの指揮をとったのは昨季の第23節から。そこから今季の第3節までの15試合だけの成績を見てみると、ボルシアMGは全体で5番目となる勝ち点27を稼いでいる。
スイス人指揮官は、チームの守備のルールと選手同士の距離感について手を加えた。
守備力の向上を示すデータがある。彼の就任後の15試合(第3節まで)の失点数は11で、王者ドルトムントと並んで最も少ない。攻撃参加を信奉したフロンツェック前監督のもとでは2.7点に達していた1試合あたりの平均失点は、0.7点にまで減少した。
ファブレ監督が最初に手をつけたのが、センターバックの役割について。攻撃参加をおさえ、失点のリスクを減らすように徹底させた。例えばオランダ人センターバックのブラウワーズは攻撃参加が持ち味で、2シーズン前にはディフェンダーとしては異例の8ゴールを決めたが、彼にも守備に専念するように指示を送った。また両サイドバックの選考についても、攻撃参加より、守備の貢献度を重視している。