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バンクーバー五輪で感動はしたが、大会運営を過去と比較すると……。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2010/03/06 00:00
バンクーバー五輪で感動はしたが、大会運営を過去と比較すると……。
本当にこれで大丈夫なの? セキュリティ事情。
オリンピック観戦で覚悟しなければならないのは、並ぶこと。とにかく、待つ。セキュリティ、チケットのチェック、会場内でのコーヒーを買うにもひと苦労。
特に2001年の同時多発テロ以来、厳しくなったのがセキュリティチェック。今回、気になったのは会場によってセキュリティのレベルが違ったこと。
いちばん厳しかったのはフィギュア会場で、ベルトは外されるし(私は空港でもベルトを外されるのが大嫌いだ!)、ペンケースの中身をチェックされた。パイロット社製の直液式のペンが気になったらしい(どうでもいいが、このペンは素晴らしい!)。
おかしなのは、他の会場ではこんなチェックをしなかったことだ。要は基準が一定ではない。北京はメディアに対してさえ厳格極まりなかったが、それはそれでいい。基準がブレないので、こちらも対処のしようがあるからだ。
バンクーバーはその点、会場ごとの運営に任されている面が強く、考えようによってはスキがあるようにも思えた。
バンクーバーはダフ屋天国!?
ナンバー本誌の方にも書いたが、バンクーバーはとにかくダフ屋天国だった。繁華街にはアイスホッケーのチケットを扱うダフ屋がかなり出没していたが、取り締まる様子を一度たりとも見たことはなかった。
これはこれで、イイと思う。需要と供給があり、そこに市場が成立しているからだ。
むしろ、北京オリンピックではダフ屋がひとりもおらず、気味が悪かった。管理や統制がダークな部分を覆い隠してしまうというのは、ある意味で不健康だ。
その点、バンクーバーはおおらかであった。こうした自由な空気があってこそのオリンピック。北京の息苦しさから比べると、やはり自由主義陣営でのオリンピックはいいものだと感じた。