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南ア戦で負けない戦術を見つけた!
“アンカー稲本”という日本の“蓋”。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byDaiju Kitamura/AFLO SPORT

posted2009/11/16 14:25

南ア戦で負けない戦術を見つけた!“アンカー稲本”という日本の“蓋”。<Number Web> photograph by Daiju Kitamura/AFLO SPORT

サイド攻撃不能で、攻めは課題ばかり残った南ア戦。

 日本代表の新システムに話を戻そう。稲本効果もあってチーム全体の守備では及第点を与えることができても、攻撃面では課題ばかりが残った。トップの岡崎慎司が孤立する時間帯が多く、前線やサイドでタメがつくれないためにサイドバックがなかなか上がっていけなかった。生命線であるサイド攻撃が仕掛けられず、10月の国内3連戦で見せた迫力ある攻撃は影を潜めてしまった。後半に入って従来の4-4-2に戻した時点からボールが回るようになった。

トリプルボランチ構想は岡田ジャパンの“蓋”として最適だ。

 だが、新システムのテストを指揮官の“迷走”だとは思わない。W杯本大会のグループリーグを想定した場合、3試合のうちいずれかの試合では、勝つことよりも負けないための戦術を選ぶ必要に迫られるだろう。また、逃げ切るための手段も講じなければならない。そういった意味でも、新システムをよりバージョンアップしていけば「アンカー稲本」を軸とするトリプルボランチ構想はオプションのひとつに成り得る。

 このオプションを確かなものにしていくために、次の香港戦ではリードした場合、後半からトリプルボランチを試すのもいいだろう。稲本というパーツを使って蓋の閉め方を模索することは、決して無意味ではないはずである。

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