MLB Column from WestBACK NUMBER
チームを変える2番打者。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byAFLO
posted2008/05/21 00:00
「マツイが復帰してチームに最高のスパークをもたらしてくれた」(セシル・クーパー監督)
「マツイが打線に加わり、攻撃にリズムが生まれた」(ランス・バークマン選手)
確かに松井稼選手の復帰直後クリーンアップを組み替え(開幕から「3番・バークマン選手、4番・リー選手、5番・テハダ選手」だったものを「3番・テハダ選手、4番・バークマン選手、5番・リー選手」に変えた)、これが見事に的中したという事象も見逃すことはできないだろうが、やはり前述のチーム成績の推移をみてもわかるように、復帰した松井稼選手がチームに与えたインパクトはやはり相当なものだと考えざるを得ない。アストロズ打線が理想的に機能するための“最後のピース”だったと言ってもいいだろう。
今シーズンに限らず、昨シーズンロッキーズがチーム史上初のワールドシリーズ進出を決めたのも、シーズン終盤の松井稼選手の活躍がチームに勢いを与えたからという事実を誰も疑ったりはしないだろう。そのロッキーズが、松井稼選手以外ほとんどの主力選手が残留しているにもかかわらず、チームはここまで大きく負け越すという不本意なシーズンを送っている。数週間前にロッキーズ担当記者の1人と話をしたところ、明らかに「2番・二塁」という松井稼選手の穴を埋めることができないことがチーム不調の主要因だと指摘していた。
一時は不調のマイケル・ボーン選手に代わり1番に入ったこともあったが、クーパー監督は「ちょっと合わなかったような気がする。もうマツイを2番から動かすことをしない」と話すとともに、余程のことがない限り2〜5番を“不動のラインナップ”にすることを明言している。
「グラウンドに出ればやることは一緒。自分の役割を果たしていくだけ。2番としてやるべきことを去年感じる部分があった。面白くなってきている」
「基本的にはあまり多くバントをしないけど、状況とかを考えてこういう場面でバントをしたら相手はどうくるだろうかと考えると結構面白い。相手に何をしてくるのかと思わせることが、自分にとってプラスだと思う」
復帰したばかりの4月21日のパドレス戦で走者ボーン選手との連携でバント内野安打を決めた松井稼選手が、試合後に話してくれた言葉だ。昨年の経験を通して、松井稼選手が2番打者として成長している証だろう。
─メジャー屈指の最強2番打者を目指して─
松井稼選手が加わった今シーズンのアストロズ打線は、間違いなく面白いことになりそうな予感がする。