岡田ジャパン試合レビューBACK NUMBER
南アフリカW杯アジア最終予選
VS.カタール
text by
木ノ原句望Kumi Kinohara
photograph byNaoya Sanuki
posted2008/11/21 00:00
もちろん、いくつか気になる点も修正すべき点もあった。プレッシャーを受けたときにはミスが多く、プレー精度に安定感がない、判断が甘い、軽いと感じさせられてしまう場面もあった。
だが、岡田体制でなかなか得られなかったメンバーの共通認識を基に、チーム全体で連動したパフォーマンスが発揮されるようになったのは評価すべきことだ。それがこの日の勝利をもたらした。
岡田監督は、今回の予選へ向けて11月10日からスタートした合宿で、選手だけで話し合いをし、プレーについての理解を深めるように仕向けてきた。
「代表チームが寄せ集めというのは免れられないことだが、ここ(代表チーム)に来たらここがホームチームだという一体感を持ってほしい」というのが、指揮官の思いだ。その一体感とは、親しい人間関係というだけでなく、プレーへの共通認識を持った戦う集団としてのものであることは言うまでもない。
「サッカーなので、出来、不出来はある。ただ、少しずつだが、チームは確実に進歩している」と、カタール戦を終えた岡田監督は言った。
田中は、「前線からみんなで追ってコンパクトにできた。岡田監督のやろうとしていることが、だんだんできてきたと思う」と話した。この日、膝のケガを押して90分プレーした中村俊輔も、「オシムさんのサッカーからやってきて、今、いい方向に来ている」と手応えを口にした。
前任のイビチャ・オシム監督の急病を受けて、急遽登板した昨年12月からここまで約11カ月。年内のW杯予選を勝利で締めくくり、3試合を終えて勝点7、予選1組でオーストラリアに次いで2位のポジションをキープした。
1993年のW杯最終予選、“ドーハの悲劇”で涙をのんだ地で得た勝利は、日本サッカーが前へ歩み続けていることを示してくれたように思う。