JリーグPRESSBACK NUMBER
ジェフ千葉、ついに降格目前!!
全盛のオシム時代から徹底検証。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2009/11/07 08:00
ではフロント陣は残留するため本当に全力を尽くしたか?
フロントからも何がなんでも残留するという強いメッセージは感じられなかった。
かつて東京ヴェルディは'01年セカンドステージ、残留争いの渦中にいたが、残り5試合のために約3千万円でFWエジムンドを獲得。彼の活躍などで3勝1敗1分で乗り切り、執念で残留を果たした。そうした即効薬となる補強もせず、10月末には早々に「江尻続投」の方針を打ち出した。一方、9月末には選手の信頼が厚い昼田宗昭・強化シニアマネージャーを解任。江尻監督の来季続投に反対したための解任ではないかなど噂が様々に流れたが、選手には解任当日まで連絡がなかったという。フロント、選手、スタッフが結束して「1部死守」という目標へと邁進しないといけない時期に、選手の不安を煽るような人事を断行する必要は果たしてあったのだろうか?
「フクアリ劇場」でのファンの情熱は、結局報われないのか。
昨年、最終戦で残留した時、巻誠一郎は「こんな想いは二度としたくない。来年はこの経験を活かして、サポーターを喜ばせるようなシーズンにしたい」と言った。だが、今シーズンの状況は、昨シーズンの教訓がまったく活かされず、クラブが必然的に招いたものとしか思えない。結局オシム以降、クラブは改革で後手にまわり続け、優秀な人材を次々と失い、明確な未来を描けなかったのだ。
こんな状況をサポーターは、どう受け止めているのだろうか。彼らは、昨シーズンは「残留」、今シーズンは「1部死守」の大横断幕を掲げ応援してきた。その姿勢はフクアリを訪れる人々の心を掴み、スタジアムを一体化し、「フクアリ劇場」とも呼ばれる独特の空間までをも生みだしていた。そのファンの思いが昨シーズンの奇跡を生んだと言ってもいい。そんなサポーターに対して、巻は「勝てなくて申し訳ない」と目に涙をためて言う。しかし、選手は本当に彼らの熱意に応えただろうか。オシム時代のように、昨年、残留を決めたFC東京戦のように、倒れるまで必死に戦った選手は、どれくらいいただろう。選手はプロとして、それを自らの胸にもう1度問うべきなのかもしれない。
川崎戦を含めラスト4戦は、これまで支えてくれたサポーターに意地を見せ、伝統ある黄色のユニフォームを纏った自分たちのプライドを取り戻す戦いになる。
このまま“負け犬”で終ってしまっては、ジェフ千葉の未来に何も繋がらない。