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ジェフ千葉、ついに降格目前!!
全盛のオシム時代から徹底検証。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2009/11/07 08:00
江尻新監督はオシム流サッカーの再興を目指したが……。
江尻監督は、オシムの流れを汲むサッカーを復活させようとした。
長期ヴィジョンに立った上でのチーム作りだが、そのサッカーが形を成すまでには時間が必要で、残留争いから逃れるべくすぐに“勝ち点3”を必要としていたチーム状況にはそぐわないものだった。
しかも戦い方に一貫性がなく、選手たちは迷いながらプレーしていた。単純なミスから失点を重ね、得点力不足も深刻化した。6月末にFWネット・バイアーノを獲得したものの勝利した大分戦以降、14試合で2点以上取れた試合は、わずか2試合。得点力不足は選手の力量もあるが、行き当たりばったりの攻撃で攻めの型が見えなかったせいでもある。ミラーが堅守速攻に徹し、選手も「勝ち点のため、残留のため」と受け入れ、勝ちながら自信を取り戻して残留した昨シーズンとは、あまりにも対照的だ。
ここ一番の大事な試合を次々と落としていくジェフ。
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大事な“運”にも江尻監督は、見離されている。
残留争いで負けられない21節の柏戦、23節の大宮戦、24節F・マリノス戦は痛恨の引き分け。27節の残留決戦となった山形戦は同点に追い付いた3分後に決勝点を入れられて敗れた。采配も26節の神戸戦では終了間際にドローに持ち込む粘り強さを発揮したが、29節の京都戦ではセットプレーの前、中後雅喜に代えて斎藤大輔を入れた途端に失点し、ドローにされて裏目に出た。
ここという大事な試合を勝ち切れないのである。新監督就任後、リーグ戦11試合6敗5分、17節以降の折り返し順位では最下位となった。
「最後まで逃げずに、今までやってきたことを貫いていくだけです」
ここ数試合、試合後に語る江尻監督のセリフだ。指揮官としての潔さは感じる。シーズン当初からであれば、可能性を見出せたかもしれない。しかし、江尻監督のミッションは、残留である。勝ち点を得るために、より現実的な手を打つことが必要だったはずだ。チームの成熟を待つという余裕など、なかったはずである。
助っ人外国人選手の補強はなぜ失敗し続けたのか?
戦力的には、核になる日本人選手の不在と外国籍選手の不発が大きかった。
選手層が薄いため、助っ人の活躍は不可欠だったが、途中加入で期待されたFWネット・バイアーノはベンチが指定席になり、MFアレックス、ミシュウも完全なレギュラーではなく、相手の脅威にならなかった。唯一のレギュラーのボスナーは、センターバックである。しかも0-3で惨敗した30節の鹿島戦では、出場した2人の外国籍選手はともに最終ラインにいた。得点力不足に悩む下位のチームとは思えない苦しい布陣だ。ちなみに毎年残留争いをしていた大宮はその反省を生かし、シーズン半ばにはFWラファエルら優秀な攻撃陣を獲得している。彼らは大活躍し、残留はほぼ決定的だ。