アテネ五輪コラムBACK NUMBER
【特別連載 山崎浩子のアテネ日記 第1回】
おそるべし、ギリシャ時間。
text by
山崎浩子Hiroko Yamasaki
photograph byHiroko Yamasaki
posted2004/08/13 12:42
私は体育会系である。いや、系じゃない、まさに体育会の人間である。
だから時間にはうるさいほうで、特に仕事のときには”5分前行動”は当たり前。必ず5分前には待ち合わせ場所等に着くように、早めの行動をとっている。
ところが、オリンピックの地、ここアテネではそれは通用しないようだ。本当に日本と同じ時間が流れているのか疑いたくなるほど、時がゆっくりと、ゆったりと、進んでいくのである。
フランスを経由してアテネの空港に降り立ったあと、宿泊先行きのバスを1時間待った。
宿舎のメディアビレッジに着き、チェックインを済ませ、ルームキーを受け取ったあとも、部屋に入るまでに1時間以上待たされた。
広大な敷地のため、車で部屋まで案内するシステムらしく、「そこのソファに座っていてください」と言われて待っていたら、1時間が経過したのである。
車で送ってくださる係のお兄様方は、なにやら皆様で談笑され、楽しそうに時を過ごされているというのに、わたくしの方はまだかまだかとイライラいたしてしまい、「いったいどうなっとんじゃあ」と大阪弁でまくしたてたくなる気分。そこをグッとこらえ、「わたくしはいつ部屋に入れるんでしょうか?」と聞くと、やっと動きがあり、それから15分後に案内の車が来たというわけである。
それでも前日チェックインした人たちは2時間待たされたという話も聞き、それよりはましだったというところだろうか。
今日も男子体操の記者会見が選手村であるというのでいそいそと出かけようとしたら、MPC(メディアプレスセンター)から選手村行きのバスは、すでに出たあと。それから炎天下で30分待ち、やっとこさバスに乗って選手村に着いたら、セキュリティチェックで15分待ち。結局、記者会見に遅れてしまい、肝心なところが聞けずじまいだった。
「だいたい何で、金属探知器を1台しか使わないんじゃ。何で、荷物を検査する人が一人しかいないんじゃ。だから長蛇の列になるんじゃ」などと怒っていたら、先にアテネに着いていた日本人に言われた。
「日本人の感覚は通用しないですね。ここはギリシャですから」
私みたいに都会でせかせかと日々を過ごしている人間はついイライラしがちだが、ギリシャの国の人たちはみな慌てない。みなゆったりと時を過ごす。まるで時の流れそのものを楽しんでいるかのように。
こういう状態でオリンピックの競技運営がスムーズに行くのかが少々心配であるが、とりあえずギリシャ時間を攻略するとしよう。体育会ではなく”超体育会人間”となって、早めの行動ではなく早~ぁく、いつもより2時間は多めに計算して出発するとしよう。
そしてあとは時の流れに身を任せ、ゆったりと時を過ごしてみるとするか……。