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W杯とミニW杯、ドイツ代表はどちらも優勝狙いだ
text by
安藤正純Masazumi Ando
photograph byGetty Images/AFLO
posted2005/06/08 00:00
来週、コンフェデレーションズカップが開幕する。W杯のちょうど1年前に開催されることから、「ミニW杯」と呼ばれ、出場チームの力量と準備状況を推し量れる絶好の機会となる。
発表されたドイツ代表23名の顔ぶれを見ると、バイエルン5、シュツッツガルト4、ブレーメン4で、この3チームが核になっている。海外組(といっても全員がプレミアリーグ所属だが)を1枠とすれば、10チームからの構成である。数多くのチームを観察し、無名の新人を発掘するクリンスマン監督の審美眼を、どこかの代表チームも見習ってほしいものだ
クリンスマン監督はこれまでのインタビューで「コンフェデ杯は優勝を狙う。来年のW杯も地元優勝だ」と何度も強調している。就任以来の成績が良く(7勝2分1敗)、選手間の派閥争い、ボーナス闘争、協会幹部の内政干渉というかつて自ら味わったマイナス要因を排除し、徹底的に理想のチームを作り上げていることが自信につながっているのだろう。
しかしドイツ代表の強さは、まだ1.5流のレベルではある。なんと言ってもブラジル、フランス、アルゼンチン、イタリア、スペイン、オランダ、チェコといった強豪国相手に、ここ5年間近くまったく勝利を収めていないからだ。
最後に勝ったのは2000年10月7日、地元でのイングランド戦(1−0)だった。それ以後は強豪国相手に12試合やって3分9敗。5回が無得点での敗戦。気が滅入るような成績だが、明るい材料としてはクリンスマン就任以降、ブラジルとアルゼンチンに引き分け、南米の強豪を上回る試合内容を見せていること。
コンフェデ杯予選Aグループはオーストラリア、チュニジア、そしてアルゼンチンが相手。3戦目で勝利をつかめば、残る敵はブラジルだけ。ということは南米両国への借りを返す絶好の機会が一気に訪れるということだ。ここで勝利し本番への地ならしとなれば、ドイツは導火線に火がついたも同様。優れた上司を敬う国民性だけに、一気に爆走するだろう。
ボンクラの代名詞だったリベック、抜本的改革に二の足を踏んだフェラー…。平凡な2人の前任者を見てきた選手にとって、「ブレない、嘘を言わない、エコヒイキしない」クリンスマンは古き良き時代の家父長的存在だ。
オヤジが頑張るんだから、俺たちも――。この気質でドイツは優勝を重ねてきた。オヤジというには若すぎると思っていたが、来月でクリンスマンも41歳。不惑の年齢での優勝を期待したい。もちろん来年の優勝も。