濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
下がり続ける総合格闘技の熱気。
5・29『DREAM』開催で再出発なるか?
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2011/05/22 08:00
多くの選手が、己のすべてをかけて目指した『DREAM』のチャンピオンベルト。その価値をさらに高めることはできるのか。(写真は『DREAM16』より、ライトヘビー級王座のチャンピオンベルト)
5月29日、さいたまスーパーアリーナで『DREAM JAPAN GP』が開催される。
DREAMは日本で最も大きなプロ格闘技イベントではあるのだが、この大会に関しては“メジャーイベント”と呼べるかどうか微妙なところだ。これまでに比べスケールダウンした部分も目立つのである。
原因は、DREAMとK-1を主催してきたFEGが、昨年大晦日の『Dynamite!!』を最後に“冬眠状態”に入っていることだ。新たな運営体制はいまだに発表されず、その間、ネット上でファイトマネー未払いを訴える選手が増え続けている。
開催の実情は、先の見えない“つなぎ”の大会。
今大会には、FEGとともにリアルエンターテインメント(RE)も主催に名を連ねている。
REは、これまでFEGからDREAMの運営を委託されてきた会社だ。選手が試合をする場を途絶えさせないため、“下請け企業”の主導で開催される大会が『DREAM JAPAN GP』なのである。
FEGにかわる新体制が発表されない段階での“つなぎ”的な役割が濃いイレギュラーな大会だけに、これまでと同様にはいかないのも当然のことだ。
会場の設定座席数は過去最少の約7000。そもそも、大会名に『DREAM.1』から続いていた通しナンバーがふられていない。地上波中継が行なわれる見込みもなし。“ナンバーシリーズ”再開もTBSとの再契約も、新体制の確立が前提となるようだ。
ファンにとっても主催者にとっても頼みの綱のPPVも、獲得できた放送枠は大会3日後のものだった。PPVの価値はノーカット生中継にこそあるのだが……。
そして選手もテレビも離れていく……。
さらに大会まで2週間を切ったところで、看板選手である青木真也の“カード問題”が浮上した。紆余曲折の末に(会見5分前に発表がキャンセルされたこともあった)決定した対戦相手アントニオ・マッキーが17日になってビザが取得できないことを理由に欠場を表明したのだ。だがブッキング担当者は「取得の準備はできている」と反論。5月18日現在、団体側からの正式なアナウンスはない。
PPVの件にせよマッキーの欠場にせよ、明らかなのはDREAMの求心力が低下しているということだ。どうしても放送したい、なんとしても出場したいイベントではなくなっているのである。新体制のスタートとともにどれだけの問題がクリアされるかも不透明だ。