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絶望の淵から生還した
鈴木桂治の「執念」。
~全日本選手権優勝の意味~
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2011/05/20 06:00
涙のVを飾った鈴木。全体重別で優勝した石井慧から対戦要求も
4年ぶり4度目の優勝は、これまでのどの勝利よりも格別のものだったに違いない。
昨年の大会を制した高橋和彦、昨年の世界選手権無差別級の金メダリストである上川大樹、100kg級の第一人者、穴井隆将……。有力選手が拮抗し、「本命不在」と言われた4月29日の全日本柔道選手権を制したのは、6月に31歳を迎える100kg超級の鈴木桂治だった。決勝の相手は穴井。2分37秒、相手のかけてきた大外刈を懸命にこらえると、大外返しで一本。その瞬間、両手を高々と突き上げて叫び、涙を流した。
「現役にへばりついていてよいのかと考えたこともありました」