濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
下がり続ける総合格闘技の熱気。
5・29『DREAM』開催で再出発なるか?
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2011/05/22 08:00
多くの選手が、己のすべてをかけて目指した『DREAM』のチャンピオンベルト。その価値をさらに高めることはできるのか。(写真は『DREAM16』より、ライトヘビー級王座のチャンピオンベルト)
以前のDREAMでは考えられない、コアなマッチメイク。
国内で最も大きなイベントでありながら、メジャーというにはものたりない5.29 DREAM。しかしリング上には、格闘技マニアなら見逃せない闘いが待っている。
今成正和、前田吉朗ら国内トップファイター8人が名を連ねたバンタム級日本トーナメント(今大会では一回戦、準決勝が行なわれる)。フェザー級ワンマッチにも興味深いカードが並んだ。
ライト級から転向して2連勝中の石田光洋は、前ライト級王者ヨアキム・ハンセンと対戦。修斗、HERO'Sで活躍し、UFCでもタイトルマッチ経験のある宇野薫と、トリッキーかつ破壊力抜群の打撃で所英男をKOした西浦“ウィッキー”聡生の顔合わせは刺激的な新旧対決だ。修斗の前世界王者・リオン武とDEEP王者・松本晃市郎のマッチアップは対抗戦という意味も持つ。どの試合も、勝って得るものと負けて失うものの落差が極めて大きいリスキーな組み合わせだ。
これまでボブ・サップや石井慧に視聴率獲得の役割を担わせざるをえなかったDREAMだが、“メジャーの条件”を失った今はコアなカードを大胆にラインナップすることができる。もちろん「それしかできない」とも言えるのだが、ファンの地熱を高めるためには、豪華さよりも勝負論の濃い試合を見せるのが最善の道だろう。
“メジャーではなくなった”と取るか、“再びメジャーになるために出直す”と取るかで、DREAMの見え方は大きく変わる。