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M・シューマッハーに勝つために。 

text by

今宮純

今宮純Jun Imamiya

PROFILE

posted2004/10/07 00:00

 『日本人予選ベスト3位』が騒がれたスペインGP。僕自身も、もちろん喜んだが、佐藤琢磨トップタイムの走りを見た後だけに、惜しいという思いの方がずっと大きかった。

 マシン戦闘力に関して言うと、今年前半戦B・A・Rホンダはあらゆる角度からみて、“セカンド・ベスト”につけていたと断言できる。フェラーリF2004に対して最も接近できたチーム、表現を換えればミシュラン勢のベストチーム、名門ウイリアムズとマクラーレンに対して明確な差をつけていた。

 その前半戦の最後、6月20日・第9戦アメリカGPで佐藤琢磨の表彰台3位は実現した。これは彼が3位を目指したレースの結果、達成したものではない。予選3位からトップ争いに没頭した結果が3位に終わったのである。この違いは大きく、重要である。

 第7戦ヨーロッパGPからアメリカGPまで“トップ3”は3戦連続全く同じ。フェラーリ、フェラーリ、B・A・Rホンダだ。

 勝者M・シューマッハーに続く2位には援護するバリチェロが従い、B・A・Rチームは3戦ともどちらか1台を欠き“2対1”の孤軍奮闘の3位であった。こういうフェラーリとのマッチレースを、B・A・Rは前半戦の終わりに立て続けにやっていたのである。

 特にヨーロッパGPではフェラーリは大ピンチとなり、M・シューマッハーのガソリン量を4周分も減らし、そうしてなんとか佐藤琢磨のPPを阻んだ。

 僕はホンダ優勝、佐藤琢磨初優勝の瞬間に備えた。今、目の前に栄光のときが迫っている実感を胸に、はやる気持ちを抑えつつ戦況を見つめるレースが続いた。

 ありていに言おう。終盤戦にきて、B・A・Rホンダの戦闘力は相対的にみても前半戦のような“セカンド・ベスト”のポジションにはない。なんといってもマクラーレン・メルセデス、ウイリアムズ・BMWが“B”スペック開発で戦力増強してきたのが大きい。またルノーもコンストラクターズ2位防衛のために、なんと中国GPからJ・ヴィルヌーヴ起用という動きに出た。元王者、元B・A・Rのエースに“助っ人役”を頼んだのである。警戒すべき存在になろう。

 鈴鹿に勝つための条件。それは“フロントロー・トゥ・フィニッシュ”に集約される。過去17回のうち15回、予選最前列スタートの者しか勝っていない(ポール・トゥ・ウィンは8回)。あのモナコGP以上に、予選順位が重要な鈴鹿だ。最多7回PPを記録しているのが『鈴鹿最速王』M・シューマッハー。フェラーリとBSタイヤで武装した王者はべらぼうにS字(セクター1)が速い。従って挑戦者はどれだけここで頑張れるかだ。

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ミハエル・シューマッハー
フェラーリ

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