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「エース候補」から卒業したい!
内海哲也は巨人の「柱」になれるか?
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/05/02 12:30
開幕第2戦目となるヤクルト戦。内海は8回2アウト1、3塁の場面で久保裕也に交代している。9回は守護神・山口鉄也が登場し、3対0で巨人が勝利した
負けはしたが、素晴らしい投球内容だったヤクルト戦。
本塁打を二発浴びるなど4回1/3を投げ3失点で敗戦投手となり、結果としてはよくなかった。自身も「慎重さが足りなかった」と反省していたが、ボールのキレ、制球ともに状態はよかった。
例えば初回。
先頭の青木宣親のフォームを崩させた3球目のスライダーと、三振に打ち取ったカーブ。この2球は文句をつけようがないほど素晴らしかった。
4回の2死満塁の場面。ストレートを積極的に振ってくる由規を仕留めた、外角のストライクからボールになるスライダー。集中力が高いからこそ投げられるというような、絶妙なコースだった。
打たれた投手は言い訳できない。
だが彼を擁護するとすれば……2回の2本塁打は失投ではあったものの、狭い草薙球場と雨を意識した結果、制球が甘くなったともとれるし、4回の失点は低めのチェンジアップを捉えた宮本慎也の技が勝ったと言える。
借金1の5位に低迷する巨人には内海の存在は不可欠。
この日の内海は、ボールの精度もさることながら、最大の持ち味である内角の速球と外角低めへの変化球の使い分けが抜群だった。この投球が続けられれば、おのずと首脳陣からの信頼を得ることができるだろう。
そのためには、登板予定である明日からの阪神3連戦では明確な結果を残さなければならない。
「相性が悪い」とされる相手に好投すれば、投手陣の柱としての信頼度も高まり、何より真のエースに一歩近づけるはず。
5月1日現在、借金1の5位に低迷するチームが浮上するためには、内海の存在は不可欠である。
そう信じたいものだ。