プロ野球亭日乗BACK NUMBER
ナイター自粛、猛暑、球場変更……。
NPB試合日程発表の衝撃と問題点。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/04/08 10:30
東京電力による節電対策の影響をもっとも受けると予想される東京ドーム。名将・原監督といえどもこの災禍に立ち向かうのは容易ではないだろう
7、8月に東北・東京電力管内で127試合のナイターが!?
すでに4月4日の12球団実行委員会で、5月以降はナイターの実施と、今後の計画停電に対しては臨時実行委員会を開いて臨機応変に対応するということが決められていた。
その上で夏場に冷房などで電力消費が増大して計画停電が必至とみられている東北、東京電力管内で7、8月には両リーグ合わせて127試合のナイターが、また、電力消費が多い東京ドーム、西武ドームの試合もデーゲームを入れて55試合が組まれている。
果たして本当に、これらの試合ができるのだろうか?
臨機応変にというのは、計画停電が実施されれば、その都度、試合開始時間を変更したりして対応をするということなのだろうか。それでは逆に混乱が大きくなるのではないか。それともその頃には「のど元過ぎれば熱さも忘れて」、このスケジュールがそのまま受け入れられると考えているのだろうか……。
チーム身売りの噂が頻発する球界に、さらに震災が襲いかかる!!
この未曾有の大災害の勃発で、今年のオフには、プロ野球は大きな転換点を迎える。
忘れてはならないのは、昨年のシーズン末には横浜の身売り騒動が勃発し、その火が完全に消えたわけではないということだ。
もし、夏場に計画停電が実施されて、ナイターやドーム球場での試合を自粛すれば、12球団の経営は大きな打撃を受けるはずである。そうした経済的背景の中で生き残っていくためには、経営者も選手も、大きな覚悟が必要だということだ。
例えば昨年、選手会は選手とファンの健康管理面から夏場のデーゲーム自粛を求めていた。しかし、電力問題で夏場のナイターが難しいということになれば、真夏の真昼の試合を受け入れることも必要だろう。熱中症などファンの安全確保からデーゲームが難しければ、球団は電力事情のいい地域に主催試合を移したり、日程を間引きして全体の電力消費量を減らすなどの工夫も必要かもしれない。
そうなれば再び、試合日程を編成し直さなければならず、日本シリーズは12月までずれ込む可能性も視野に入れなければならない。
選手契約は11月末までだが、すでに選手会は12月に日程がずれ込んでも、公式戦144試合とクライマックスシリーズ、日本シリーズは行なうことを約束している。
12月まで日程がずれ込めば、選手にも相当な影響は出てくるが、それにも耐えるということなのだろう。