MLB東奔西走BACK NUMBER
東北地方太平洋沖地震に対する、
日米スポーツ界の役割を考える。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byREUTERS/AFLO
posted2011/03/17 10:31
2011年3月14日、レッドソックスに所属する日本人選手4人が、東日本大震災に際し、自ら募金箱を手に義援金を募った。写真左から田澤純一投手、正田樹投手、松坂大輔投手、岡島秀樹投手
震災に対するMLBの素早い行動から見えた、日米の相違。
日本でも同じような現象があった。
1995年1月に阪神・淡路大震災が起こった際も、「がんばろう神戸」をスローガンにしてブルーウェーブと神戸市民が野球を通して一体化していた。
これらは悲惨な出来事に遭遇した時にアスリートたちが口にする「自分たちのプレーで人々を元気づけたい」という典型的な例だが、果たしてスポーツの役割はそれだけなのだろうか。この辺りの捉え方、考え方で日米の相違がこの何日かで如実に現れているように思うのだ。
日本と関係の深いMLBは、時差こそあったものの、地震が起きた数時間後の3月11日午後にバド・セリグ=コミッショナーが被災地への全面支援の声明を発表した。
それに呼応するように、各チームもオープン戦で黙祷を捧げたり、さらに球場での義援金募集を行うなどの救済イベントを次々に打ち出している。
またNBAも同じ11日午後7時には公式サイトで赤十字への義援金募金を促す素早い反応をしているし、NHLも同様の手続きをとっている。
試合日程の調整ばかりがクローズアップされる日本スポーツ界。
日本はどうだろうか。
被害を受けた地域に本拠地を置くチームがありながらNPBやJリーグ事務局は、今後の試合日程に対する話ばかりが聞こえてくるだけで、ここまで(3月14日時点で、です!)一度も被害にあったファンを支援するという公式発表が出てこなかったし、NPBの公式サイトは通常のままだし、Jリーグにしても公式戦中止の告知がなされているだけだった。
さらに日本の選手から直接確認したところでは、オープン戦開催の自粛を決定したのは各チームそれぞれの判断だったようだ。巨人や阪神などが収益を義援金に充てるため、オープン戦開催に踏み切ったようだが、チームによってオープン戦開催に違いがあっては開幕を控えた選手から不満が出るのも当然のことだろう。これでは折角の義援行為も中途半端になってしまう。