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ザッケローニにアピールできたか!?
伊野波と岩政がJで見せつけた闘志。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byToshiya Kondo
posted2011/03/11 10:30
アジアカップでは準々決勝のカタール戦で右サイドバックとして先発し、試合終了間際の後半39分に劇的な決勝ゴールを決めた伊野波
ズルズルと負の連鎖にはまりかけた鹿島だったが……。
甘さの残る守備は、レフェリングが不安定だったことも一因だろうし、前線でプレスをかける先導役となっていたマルキーニョスの退団も少なからず影響していたのだろう。そのうえ、攻撃陣が決定的なチャンスをことごとく活かせなかったこともあり、ストレスの溜まる展開が長く続くことになった。
こうなるとズルズルと負の連鎖に陥るパターンになってもおかしくないが、踏ん張ることができたのは2人のセンターバックの奮闘があったからだ。
「失点に絡んでいたので、いつか取り戻したいというのはありました」
後半の立ち上がり、1点目の失点に絡んだその伊野波が、ミスを帳消しにするように右コーナーキックのこぼれ球を右足でねじ込んだ。そして2点目を奪われた後も、同じようにセットプレーから岩政が頭で合わせて再び同点に追いついている。
結果的に3失点してしまったとはいえ、大宮の2点目は絶妙なFKを放った上田康太を称えるべきであろうし、3点目もタッチラインを割ったと勘違いしてイ・チョンスを追うのをやめたフェリペ・ガブリエルの判断ミスが主因だった。
ザッケローニに見せつけた伊野波と岩政の「闘う姿勢」。
前半と比べると後半は守備に甘さが消え、伊野波と岩政がどっしりと構えて相手にペナルティーエリアで仕事をさせなかった。
最終ラインからハッパをかけて味方に下を向かせなかったことで、後半ロスタイムに追いつくという粘り腰を生んだのだと言える。
岩政は言う。
「マルキーニョスがいなくなって、守備のスイッチを入れられずに相手に同じテンポでパスを回されているというのはあります。ただ、そういう戦術のこともありますけど、1対1の局面で勝っていればチャンスになるし、そうでなかったらピンチになる。前半、僕はその1対1のところが不満だった。僕らはもうチャンピオンではないのだし、球際でガツガツと闘う姿勢を見せて戦ったほうがいいと思っていました」
ハーフタイムに入ったときに岩政は「闘う姿勢」をもっと打ち出していくことをチームに呼びかけたという。