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松井の復活にかけるアスレチックス。
優勝への活路は指名打者にあり! 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byKYODO

posted2011/03/09 10:30

松井の復活にかけるアスレチックス。優勝への活路は指名打者にあり!<Number Web> photograph by KYODO

順調に調整を続ける松井秀喜。心配されているヒザの状態も良く、今シーズンは守備の機会を熱望している

 いよいよオープン戦も開幕し、スプリング・トレーニング真っ直中のメジャーリーグ。アスレチックスに移籍した松井秀喜選手のニュースは明るい話題が続いている。

 その順調な調整ぶりを見ても、両ヒザの状態が昨年とは比較にならないぐらい良好であることは一目瞭然だ。

 報道によれば松井がキャンプ初日からフルメニューを消化したのは実に4年ぶりのこと。「ヒザの感じを比較すれば去年よりいい。(ヒザを)意識する割合も減っている気がする」。言葉自体は控えめだが、松井自身の中でヒザへの不安が着実に解消されつつある。昨年のこの時期は守備へのこだわりを示す発言が多かった気がするが、今年はまったくといっていいほど聞こえてこないのも、ヒザの状態が良好だということの裏返しなのだろう。

 このままの状態でキャンプを終えれば……。多くのファンが今季の松井にはかなり期待しているはず。

 松井を獲得したアスレチックスにしても、今季に賭ける意気込みは相当なものだ。ポスティング制度による岩隈久志投手の獲得には失敗したものの、松井以外にも弱点箇所の戦力補強を着実に行なったというのは以前に紹介した通りだ。

成績が振るわない、アスレチックスの歴代指名打者。

 しかし、である。今季、混戦必至が予想されるア・リーグ西地区をアスレチックスが制するためには、松井の活躍が相当の比重を占めているのも間違いないのである。

 まずはこの表を見てほしい。2001年からアスレチックスの指名打者の年度別成績をまとめたものだ。

●アスレチックス 指名打者 年度別成績
 シーズン   選手(年齢)   試合数   打率   本塁打   打点   OPS 
2001年
(地区2位)
ジェレミー・ジアンビ(26) 124
(8位)
.283
(4位)
12
(6位タイ)
57
(7位)
0.841
(4位)
2002年
(同1位) 
レイ・ダーラム(30) 54
(10位)
.274
(4位)
6
(9位タイ)
22
(10位)
0.806
(4位)
2003年
(同1位) 
エルビエル・デュランゾ(29) 154
(3位タイ)
.259
(4位)
21
(3位タイ)
77
(4位)
0.804
(3位)
2004年
(同2位)
エルビエル・デュランゾ(30) 142
(5位)
.321
(1位)
22
(3位タイ)
88
(1位)
0.919
(1位)
2005年
(同2位)
スコット・ハッテバーグ(35) 134
(4位)
.256
(9位)
7
(9位)
59
(4位)
0.677
(8位)
2006年
(同1位)
フランク・トーマス(38) 137
(3位タイ)
.270
(4位)
39
(1位)
114
(1位)
0.926
(1位)
2007年
(同3位)
マイク・ピアザ(38) 83
(7位)
.275
(4位)
8
(7位タイ)
44
(7位)
0.727
(7位)
2008年
(同3位)
フランク・トーマス(40) 55
(10位)
.263
(3位)
5
(7位)
19
(10位)
0.751
(2位)
2009年
(同4位)
ジャック・カスト(30) 149
(1位)
.240
(9位)
25
(1位)
70
(2位)
0.773
(3位)
2010年
(同2位)
ジャック・カスト(31) 112
(8位)
.272
(5位)
13
(2位タイ)
52
(4位タイ)
0.834
(1位)

 まず真っ先に気づくのは、本来なら“打撃の職人”であるべき指名打者という割には、2006年のフランク・トーマス以外、見栄えのしない成績だということ。それはリーグを代表する指名打者、デビッド・オルティスの年度別成績と比較すればより明白だ。

●デビッド・オルティス 年度別成績
 シーズン   試合数   打率   本塁打   打点   OPS 
2001年 89 .234 18 48 0.799
2002年 125 .272 20 75 0.839
2003年 128 .288 31 101 0.961
2004年 150 .301 41 139 0.983
2005年 159 .300 47 148 1.001
2006年 151 .287 54 137 1.049
2007年 149 .332 35 117 1.066
2008年 109 .264 23 89 0.877
2009年 150 .238 28 99 0.794
2010年 145 .270 32 102 0.899

 特に本塁打や打点の違いをみればわかるように、主軸打者として打線の要になる存在が指名打者であるべきだ。しかしながら、アスレチックスは過去10年間、決して指名打者に恵まれているとは言えなかった。

 それでも2000年から2003年までの4年間で3度の地区優勝を飾る実力を誇っていた。当時はティム・ハドソン、バリー・ジト、マーク・マドラーという若手先発陣が台頭し、投手陣が充実していたのも要因の1つ。そして、確固たる指名打者が存在しなくともジェイソン・ジアンビ、ミゲル・テハダ、エリック・チャベスという主軸打者が揃っていたからだ。

 だが、2002年にジアンビ、そして2004年にテハダが移籍し、さらにチャベスも2006年以降故障が続き出場数が激減し、昨季には引退している(今季、突然ヤンキースとのマイナー契約を結んだが、一線に戻るのは難しいだろう)。

 改めて【表1】を見てほしい。各成績に括弧で記されているのは、各ポジション別にチーム内で出場数が最も多かった選手10人の中での順位を示したものである。ジアンビ、テハダが抜けた2004年以降、2006年のトーマスや出場数の少ない選手を除いた指名打者の成績自体は大差はないのに、平均的にランク順位が上昇しているのがわかる。

 例えば2001年のジェレミー・ジアンビは57打点でチーム7位だったのに、2005年のハッテバーグは59打点で4位にランク。また2004年のデュランゾや2009年のカストは、本塁打、打点ともにずば抜けた成績ではないにもかかわらずチーム上位にランクされているのだ。

【次ページ】 松井のケガがなく最低ノルマさえクリアできれば……。

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#オークランド・アスレチックス

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