MLB東奔西走BACK NUMBER
松井の復活にかけるアスレチックス。
優勝への活路は指名打者にあり!
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byKYODO
posted2011/03/09 10:30
順調に調整を続ける松井秀喜。心配されているヒザの状態も良く、今シーズンは守備の機会を熱望している
松井のケガがなく最低ノルマさえクリアできれば……。
この数字が意味することは至って明快だ。かつての主軸打者が抜けてからというもの、世代交代が円滑に進まず彼らの穴を埋めることができていないということである。
このことは、そのまま打線内での指名打者への負担増にもつながっているのだ。2004年以降で見ると、指名打者が活躍した2006年しか地区優勝ができていない。これを単なる偶然と片づけるアナリストは存在しないだろう。
昨季のチーム防御率リーグ1位が示すように、投手陣に関しては新世代の台頭で地区内はおろかリーグ屈指の陣容を揃えている。5年ぶりの地区優勝のカギを握るのは良くも悪くも打線の出来次第なのだ。長打力補強のため松井以外にもジョシュ・ウィリンハムを獲得したが、シーズン自己最多は26本塁打(2006年)、89打点(2007年)に留まっており、主軸打者というにはもう一つ物足りなさが残る。
結論はたった1つ。アスレチックスが地区優勝を狙うには、松井がシーズンを通してケガなく出場し続けるしかない。そして数字的にも30本塁打、100打点が最低ノルマになってくるだろう。
もちろんこれまでの実績を考えれば、両ヒザさえ問題なければ十分にクリアできるはず。そしてそれを達成した暁には、日本の紙面を“松井復活!”というニュースで賑わすことになるはずだ。