サハラマラソン挑戦記BACK NUMBER

サハラマラソンはリアル・ドラクエ……。
知るほどに深みにはまる砂漠の恐怖。 

text by

松山貴史

松山貴史Takashi Matsuyama

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photograph byMiki Fukano

posted2011/03/04 06:00

サハラマラソンはリアル・ドラクエ……。知るほどに深みにはまる砂漠の恐怖。<Number Web> photograph by Miki Fukano

モロッコ大使館でショーラック次官と記念写真。後ろは国王

「砂」砂漠でのサハラマラソンは普通のシューズでOK!?

 残念ながら、大会予定地のワルザザードには行ったことがなかったらしいが、サハラ砂漠は「砂」砂漠ということが分かった。一口に砂漠と言っても、岩石砂漠、礫砂漠、砂砂漠、土砂漠の4種類に分類でき、例えば岩石砂漠だとイメージとしては映画『猿の惑星』に出てくるような、本当に岩だらけの砂漠である。そういえば砂漠ランナー新年会でもアタカマ砂漠は岩がゴツゴツしていて、ソールが削れると言っていたな……サハラ砂漠が「砂」砂漠なのであれば、恐らく普通のランニングシューズでレースに挑むことができるので、これは大変有用な情報だった。

 他にもサソリや蛇などの凶悪な生き物以外に、キツネなどの可愛い小動物もいることが分かり、また、サハラ砂漠にしか生えないといわれている、栄養豊かなオイルが採れるアルガン木の存在を知った。実はモロッコは知る人ぞ知るバラの国で、スタート予定地のワルザザード付近に、バラの産地もあるらしい。砂漠に点在する村落では、ベルベル人のテントやアンモナイトの即売所もあるらしく、恐らくコース上にはないと思うが、レース中に走ること以外の楽しみができたのは非常に大きい。現地の方も行かない砂漠地帯を走ることに一抹の不安を覚えたが、お土産に愛知万博時に使用したモロッコのPR用DVDもいただき、想像以上に収穫のあった一日だった。

 ちなみに会話は全て英語だったので上記の情報は多少のニュアンスの違いを含んでいる可能性があります。すいません(by 東京外国語大学外国語学部ドイツ語科)。

類は友を呼ぶ? 偶然にもサハラマラソン参加者と知り合う。

 話は変わるが、実は11月の段階で今年のサハラマラソン参加者と会うことができていた。彼は眞守真輝(まもり・まさき)さんといって京都に住む立命館大学の4年生。彼との出会いは本当に偶然で、寮の後輩が所属しているサークルの全国大会とやらが東京であり、その打ち上げの席上でたまたま横の席になった際、眞守さんのサハラマラソン出場が発覚。「それ、寮の先輩も出る!!」ということで盛り上がり、急遽、寮に泊りに来てもらうことになった。

 何と言っても日本からの出場者は20名である。砂漠ランナー新年会のような特殊会合で出会うならまだしも、日常生活で出会うのは奇跡といっても過言ではない。彼は1年間休学して世界一周しようと思っていた矢先にサハラマラソンの存在を知り、気づいたらエントリーしていた……という、例に漏れず、ぶっ飛んだ奴だった。そんな彼から「地図を入手した」との連絡があったので、会うことに。

 補足しておくと、サハラマラソンの地図はレース前日にしか配布されない。というのも優勝者には賞金がでるので、コースは初出場でも不利にならないよう毎年変更されるからである。しかし、過去約15年間はモロッコ人しか優勝していない。変更する意味があるのだろうか。ちなみに優勝は5000ユーロ、2位3000ユーロ、3位1500ユーロ、4~10位は次回出場費500ユーロ引き券が貰えるらしい。

【次ページ】 サハラマラソンの地図は……ドラクエの宝の地図か!?

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