サハラマラソン挑戦記BACK NUMBER
サハラマラソンはリアル・ドラクエ……。
知るほどに深みにはまる砂漠の恐怖。
text by
松山貴史Takashi Matsuyama
photograph byMiki Fukano
posted2011/03/04 06:00
モロッコ大使館でショーラック次官と記念写真。後ろは国王
砂漠ランナー新年会に行ったお陰で、サハラマラソンの輪郭がはっきりと掴めてきた。
しかし、開催地モロッコは遠い国、もっと具体的な砂漠の情報が欲しい……ということで、モロッコ大使館の広報局,観光局に連絡してみることにした。
電話でアポイントを取ったが、当然ながら英語で対応されたので焦ってしまう。
何とかアポイントを取るも、月曜日か火曜日か忘れたので、もう一度電話をすると、何故か木曜日に。一応取材というカタチにしてアポをもらったので、Number編集部Wさんも同行、それでも不安だったので英語の先生、そしてスペイン語科卒で、現在イスラム関係を専攻にされている院生(アラビア語も話せる)の方にも付いてきてもらう。さすが東京外国語大学。最強の布陣である。意気揚々と表参道のモロッコ大使館を訪ねると、
職員の方「明日のはずですが?」
自分「……。今日でアポイントを取ったはずなのですが……」
職員の方「現在担当の者は外出しております」
モロッコ大使館の高官が教えてくれた現地の生情報。
外国ではよくあることらしい。決して私の語学力不足による伝達ミスでない……ハズ。今日でアポ取ったはずだと弱気を隠して強気で臨むと、大所帯で来ていたこともあって、観光局の方ではなく、次官モハメッド・ショーラック氏が対応して下さった。
これはかなりの幸運なことで、次官とは長たる官職の次位に位置付けられる高級幹部の官職であり、普段こういった対応はしないはずである。次官のショーラック氏は大変気さくな方で、モロッコで親しまれているミントティーを飲みながら、ジョークも交えてモロッコについての様々な情報を教えてくれた。
日本が「日出ずる国」ならば、北アフリカの西に位置するモロッコは「日没する国」らしい。主要民族は、アラブ人と、受験での世界史選択者ならば確実に聞いたことがあるであろう懐かしの「ベルベル人」である。 ワインも美味しくEUの人々には大変人気のリゾート地で、モロッコに別荘を持ち、休暇でゴルフに行くのが一つのステータスになっているらしい。
しかし、チュニジアからはじまりエジプトなどにも飛び火している反政府デモで北アフリカ情勢が揺れに揺れており、位置的には遠いモロッコの観光客も減っているらしい。立憲君主制で平和なモロッコにはあまり関係ないらしいのだが、如何せん日本人はモロッコについての知識がほとんどない(たまに東南アジアの国と間違えられて、大使館に電話がかかってくるらしい)。そういった状況の中での「モロッコを知りたい」という訪問だったので大変喜んで下さった。