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酷評された“謎采配”も「じつは意図があった」山下大輔が明かす“暗黒期ベイスターズ”の真実「村田修一を叱った日」「ウッズのバントが唯一の後悔」
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村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byJIJI PRESS
posted2025/04/22 11:06

2004年8月、東京ドームのベンチで厳しい表情を浮かべる横浜ベイスターズの山下大輔監督
「なぜウッズにバントを…」記者に責められた采配の真実
――2003年9月19日の最下位が確定した後の中日戦。10回裏無死一、二塁の一打サヨナラの場面で、あのウッズがバントをして失敗しましたね。
「本来なら強行ですよ。ただ、あれはサインじゃないんですよ。直前にピッチャー交代で間が空いた時にタイロンがベンチに来て『監督、バント。バントやらせて』って言ってきた。それに『ああ、いいよ』って、つい返事をしてしまった。それがポーンと失敗してしまってね。試合後の会見で『どうしてバントさせた』と記者から責められますよね。ただ、その時にタイロンがすぐそこまで来て『ごめん』と言ってくれた。それで記者が悟ったのかな。僕は何を言ったのか覚えていないですけど」
――当時のコメントを見ると「勝利の確率が高いので決断した。采配がヘボと言われればそうかも」とウッズを庇っていますね。
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「この件は本当に、反省材料ですよね、うん……。苦しかったこと、思い出しました。試合後のインタビューです。2003年は完璧に力の差みたいなものがあって、負け試合のあとに『この場面は?』って振り返らされるんですが、『こうすれば勝てた』という試合は多くなかったから言うことがない。でも、オーナーがメディアのTBSだったから、試合後の監督インタビューはすべて受けなければなりませんでしたからね」
――DeNAになってからは監督の全試合会見が当たり前になりましたが、TBS当時から責務はあったんですね。
「監督の務めというのは、ある種の広告塔じゃないけども、そういうのも仕事のひとつだとは思います。僕の時は弱いからあんまり広告塔にはなりませんでしたけどね。コメントは言い訳になってはいけないし、記者を使ってミスした選手にメッセージを伝える監督もいますけど、僕は直接本人に伝えるべきだと思いますね」