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「涙した高梨沙羅の失格とは別もの」スキージャンプ激震…極秘映像で暴かれた“スーツ不正事件”「最大のスキャンダル」はなぜ起きたのか

posted2025/04/17 11:04

 
「涙した高梨沙羅の失格とは別もの」スキージャンプ激震…極秘映像で暴かれた“スーツ不正事件”「最大のスキャンダル」はなぜ起きたのか<Number Web> photograph by JIJI PRESS

スーツ不正が発覚し、現地メディアに囲まれるノルウェー代表の首脳陣。スキージャンプ界に激震が走った

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雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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スキージャンプ界に激震が走った“スーツ不正事件”。違反行為を捕らえた証拠映像によって明るみになった「最大のスキャンダル」とは一体何だったのか。日本代表の関係者にも意見を求めた【NumberWebレポート全2回の1回目/後編も公開中】

「ジャンプ界の歴史における暗黒の時だ」

 国際スキー・スノーボード連盟(FIS)ジャンプ部門のディレクターを務めるサンドロ・ペルティレは、今回のスキャンダルについてユーロスポーツの取材にそう語ったという。

SNSに投稿された証拠映像

 3月8日。白い雪に覆われたノルウェー・トロンハイムでのノルディックスキー世界選手権は、大会ハイライトの一つである男子ジャンプの個人ラージヒルを迎えようとしていた。

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 その頃、ポーランド人記者によってSNSに一本の動画が投稿された。

 ある情報提供者から送られてきたという動画には、秘密裏に競技用スーツに細工を施すノルウェー代表スタッフの姿が映っていた。手直しが許されていないスーツをほどいて股下部分に同色の違う生地を縫いつけ、そこには同代表ヘッドコーチ(HC)のマグナス・ブレヴィグも立ち会っている。

 それは違反行為の現場を捕らえた証拠映像だった。

 オーストリアのテレビ局も同じ動画を受け取って投稿するなど情報は一気に拡散。ポーランド、オーストリア、スロベニアの3カ国は競技開始前からFISに正式に抗議を行い、日本にも抗議参加への打診があったという。競技直前の準備などに追われて日本はそこには加わらなかった。だが、作山憲斗HCは1本目と2本目の間にペルティレ氏が各所との電話対応に追われている姿を見て、「いろいろなところから相当詰められているな」と感じていたという。

【次ページ】 事実否定から一転「犬のように後悔している」

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