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「男とか女とか、関係ねえんだよ」単なる男女マッチを超えて…“里村明衣子と戦いたかった”鈴木みのる56歳の本音「キックもパンチも全部いてえよ…」
posted2025/04/05 17:17

鈴木みのるをスリーパーホールドで絞める里村明衣子。4月3日、新宿FACE
text by

原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
引退が4月29日に迫っているセンダイガールズプロレスリングの里村明衣子(45歳)が、4月3日新宿FACEで鈴木みのる(56歳)とシングルマッチで戦った。試合は鈴木が里村のすべてを受け止め、25分6秒、里村をゴッチ式のパイルドライバーからフォールした。だが、そこには単なる女vs.男を超えるストーリーがあった。
14年前の出会い「お前と初めてプロレスやったのが…」
勝利した鈴木がマイクを握った。
「今日のこの対戦、鈴木みのるvs.里村明衣子。どうして新宿FACEか知ってるか? 急遽、取れるのがこの新宿FACEしかなかったのが一つ。そしてもう一つ、よしやろうと決めたのはこれだ。お前と初めてプロレスやったのがここ新宿FACE。もう、みんな忘れてしまったかもしれないけどよ。14年前、東日本大震災があったときに真っ先に、売上全部募金したい、そんな興行がやりたいと思って、オレが会ったこともない里村明衣子に連絡したんだ。それが最初だ」
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鈴木はリング上で話を続けた。
「新崎人生に連絡したら、『里村はミクストとかやんないと思いますよ。アイツ頭カタいですからね』って。昨日のことのように覚えているよ。そして新崎から戻ってきた返事は『二つ返事で、OK出ました!』」
その時、新崎もびっくりした里村の快諾だった。
「それでここで一緒にやって、そのあと気仙沼、本吉町まで行ってチャリティーの興行やったよな。それからオレとお前はすれ違ってばっかで、戦うまでに14年かかったな。どうだ、鈴木みのるのプロレス。痛いだろう? 苦しいだろう? でも、楽しいだろう?」
「コイツが引退して、さらっと辞める前に、どうしてもやりたかったんだよ。だからオレから里村に電話してお願いしたんだよ。お前の道場でいい。無観客でもいいからやろう。1回くらいオレとプロレスやろうぜって。お前の周りの人間は結構痛い目にあっているけど、お前は1回もないもんな。隣(タッグ)しかないもんな」