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「男とか女とか、関係ねえんだよ」単なる男女マッチを超えて…“里村明衣子と戦いたかった”鈴木みのる56歳の本音「キックもパンチも全部いてえよ…」
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/04/05 17:17
鈴木みのるをスリーパーホールドで絞める里村明衣子。4月3日、新宿FACE
30年前「まるで鈴木みのる」だった里村明衣子15歳
鈴木は里村を知ったきっかけを話した。
「オレがパンクラスにいたころ、言われたんだよ。『ガイアジャパンという新しい団体で15歳のすげえ顔した、すげえレスラーがデビューしたんだよ。まるで鈴木みのるだ』って」
記者からそんな話を耳にした鈴木にとって、里村は気になる存在だった。
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「それからずっとコイツに会いたいと思っていた。時間は、それから30年近くもかかったけどな。いてえよ。本当にいてえよ。お前のキックもパンチも全部いてえよ。さすが横綱だよ。サンキュー、ありがとう」
そう言うと鈴木はリングの中央に倒れたままその話を聞いていた里村を抱き寄せた。
里村と鈴木の思いを込めた時間が過ぎていった。里村のオーバーヘッドキックも、スリーパーホールドも、デスバレーボムも、スコーピオライジングもすべて受け止めて、鈴木は嬉しそうに戦った。
「それでも横綱か!」
「もっとしぼれ!」
鈴木はそんな言葉で里村を叱咤し、チョップやイスを叩き込んだ。アームバーやアキレス腱固め、スリーパーホールド、そしてとどめはパイルドライバーだった。
「私が最初に鈴木みのるさんの試合を見た時のまま、今日、目の前に立っていただいて、こんなに厳しく向き合ってくれて感謝しています。私は鈴木さんのような厳しさがないと、これからは強いプロレスラーは育たないと思っていて。だからずっと鈴木さんと試合をさせていただきたかったし、後輩たちにもこの試合を見てもらいたかった。自分がこんなに立てなくなるまで攻められましたけれど、こういう厳しさをこれからのレスラーたちは見て学んで強くなってほしいと思います。本当に鈴木みのる選手に感謝しています」



