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「ショウヘイが仕留めた」MVPトリオでフル出場は大谷翔平だけ…なぜ“開幕8連勝”できたのか? ドジャースに敗れた対戦球団への「ある違和感」
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笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2025/04/04 11:05

3日のブレーブス戦でサヨナラとなる今季第3号ホームランを放った大谷翔平
6回表を終わってブレーブスが1対0とリード。ドジャース打線はサイ・ヤング賞左腕セールにわずか1安打に抑えられていた。
セールと言えば、95マイル超(約153キロ)の直球と大きく曲がる縦変化と横変化のスライダーを使い分け、チェンジアップも交えてくる。加えて198センチの身長と長い手足を有効に使い、クロスに踏み出したリリースポイントは、打者にとっては投げ出しが完全なボールゾーンとなる。左打者ならば背中より後ろ、右打者にとっては遥か彼方から投げ出されたボールが外角ギリギリに収まったかと思えば、内角の胸元、足元にまで切れ込んでくる。そして、2種類のスライダーは3次元の五角柱となるストライクゾーンを有効活用し、奥行きまでを使って投げ込まれる。まさにセールのウイニングショットだ。
だが、攻める方としては、その宝刀・スライダーを打ち崩さないことには攻略はできない。1打席目から大谷もベッツも2種類のスライダーを意識し、スイングを繰り返しながら軌道をインプットし、バットヘッドの返りを遅らせ対応してきたが、なかなかうまくいかない。だが、3巡目となった6回、ようやくポイントが合致した。
「ショウヘイが決め球を仕留めた」
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先頭・大谷がカウント0−2から外角低めに曲がり落ちた79マイル(約127キロ)のスライダーに泳がされながらもバットヘッドを残して拾い右前へ運んだ。そして、ベッツは真ん中低めに入った78.7マイル(約127キロ)のスライダーにバットを遅らせ左翼席へ運ぶ値千金の逆転2点本塁打。たったひとつのチャンスを生かした逆転劇にロバーツ監督は唸った。
「翔平が相手の決め球を仕留めた。バットを遠くまで出し食らいついていった。ムーキーは難しいボールをすくい上げ本当にうまく打った。そしてセールを打ち崩した。本当にあっという間の出来事だった」
ドジャースの野球を見ていると、選手たちの考えていることがプレーに表れる。決して結果としてうまくいかなくとも、そのアプローチは見る者が見れば、納得ができる。その逆に戦う相手は、じわじわと追い込まれる。サイ・ヤング賞左腕セールと言えど、1対0という最小リードしかない緊迫した展開の中でドジャースのチーム一丸となったアプローチに追い詰められていったことであろう。