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「璃来ちゃんと出会って…」演技直後、三浦は木原の頭をポンポンと撫でた…りくりゅう“2年ぶりの世界選手権優勝”の裏で取り戻した「新鮮な気持ち」 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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posted2025/04/02 11:00

「璃来ちゃんと出会って…」演技直後、三浦は木原の頭をポンポンと撫でた…りくりゅう“2年ぶりの世界選手権優勝”の裏で取り戻した「新鮮な気持ち」<Number Web> photograph by Getty Images

世界選手権で2年ぶりの優勝を果たした三浦璃来・木原龍一

「好きなスケートのはずなのに、なんでつらくなって…」

 木原は、自分の気持ちをこう説明した。

「多分(原因は)僕なんですけど、シーズン前半戦はより良いものをという気持ちが強く出すぎてしまっていて、出来ない自分に対してものすごくへこんでしまったり、なんでなんだろうという気持ちが強く出すぎてしまった」

 パートナーの三浦は、そんな木原を静かに観察していた。

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「いつも引っ張ってもらってるので、龍一くんのほうに余裕があると声をかける余裕がある。ちょっとしたことでも冗談とか試合前でも言ってたので、シーズン前半はそれが少なかったかな」

 木原はこう続けた。

「好きなスケートのはずなのに、なんでこんな急につらくなっているんだろうというふうに今一度振り返ってみて、自分の目標設定が高くなりすぎているということに気が付いた。そこから目標を少しずつ変えていって気持ちが前向きになって、僕も少し以前のような気持ちに戻ってきて、璃来ちゃんもそれに応えてくれたんじゃないかと……」

「璃来ちゃんと出会って…」木原が思い出したこと

 2019年に2人で組み始めてから急成長していった当時の楽しさを、今一度思い出したのだという。

「璃来ちゃんと出会ってチームを結成してから、全て今まで経験したことのない経験をさせていただいた。最初の頃は新鮮な気持ちがあったんですけど、それが当たり前になってしまうと人間って忘れてしまう。その気持ちをもう一度思い出して……」

 りくりゅうとして初めて挑んだ2021年ストックホルム世界選手権で10位と健闘。木原がペアに転向して8年目にして初めてフリーに進出したことで、マルコットコーチと喜び合ったという。

「その気持ちがいつの間にか無くなってしまった。(だから)結果は置いといて、結果より先に、楽しむことが大事だなと思っていました」と木原。

【次ページ】 お祝いムードが“1日で終わった”理由

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