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「監督の歩き方がカッコいいなと思って」日本ハム・伊藤大海が“歩き方”まで変えたワケ…新庄剛志監督にボソッと告げられた“二人だけの約束”
text by

酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2025/04/01 11:01

今や日本ハムのエースとなった伊藤大海に新庄剛志監督が告げた“ある約束”とは
「野手ってこんな時間から動くんだとか、この人はこの時間に来るんだとか、チームのことがだんだん見えるようになってきたんです。いままではみんながいる状態の中に入っていたので同じ景色にしか映らなかったのが、今日はコイツ、いつもより来るのが遅かったから疲れているのかなとか。それで声をかけたりして。周りを見る余裕が出てきたんです」
伊藤は歩き方まで変えていた。その手本となった人がいるのだという。
「監督の歩き方がカッコいいなと思って。なにが違うんだろうって、ずっと監督が歩いているときに見ていたんです。堂々と歩いているというか、スタイルもいいですし、背筋もピンと伸びていますよね」
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自ら思い定めたことを継続し、凛々しくありつづけることで器を押し広げていった。
北海道出身の伊藤にとってファイターズは人生に寄り添う存在でありつづける。チームが本拠地の移転で東京から北海道にやって来た04年は小学1年生だった。テレビでファイターズ戦が映るようになると夢中になった。そのなかで、ひときわ輝いていたのが強肩強打の新庄だった。戦隊ヒーロー『ゴレンジャー』のマスクをかぶって現れたかと思えば、ゴンドラに乗って天井から舞い降りてきた。極めつけは06年である。開幕早々、シーズン後の引退を宣言して大きなうねりを起こし、チームを優勝に導いた。
伊藤は新庄が演出した祝祭を直接、見ていない。
伊藤の故郷である渡島半島の東岸、茅部郡鹿部町から札幌ドームは遠く、車で4時間近くかかるファイターズの本拠地を初めて訪れたときには、もう「SHINJO 1」の背中はなかった。代わりにスポットライトを浴びていたのが若きエース、ダルビッシュ有である。伊藤はたちまち虜になった。小学生の頃から、帽子の襟足からカールして覗かせる長髪をマネするほど熱を上げた。
新庄監督の価値観が滲み出た“文面”
憧れは憧れのままだ。それはいまも変わらぬヘアスタイルを見ればわかる。
伊藤の髪型の話題に触れる形で、新庄はファイターズの監督に就いて間もない21年の秋、自身のインスタグラムに投稿した。