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「監督の歩き方がカッコいいなと思って」日本ハム・伊藤大海が“歩き方”まで変えたワケ…新庄剛志監督にボソッと告げられた“二人だけの約束” 

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酒井俊作

酒井俊作Shunsaku Sakai

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photograph bySANKEI SHIMBUN

posted2025/04/01 11:01

「監督の歩き方がカッコいいなと思って」日本ハム・伊藤大海が“歩き方”まで変えたワケ…新庄剛志監督にボソッと告げられた“二人だけの約束”<Number Web> photograph by SANKEI SHIMBUN

今や日本ハムのエースとなった伊藤大海に新庄剛志監督が告げた“ある約束”とは

《個性ある髪型 服装 発言 大歓迎‼ ただし 痛んだ髪 歯 汗臭さ ダサい服 みっともない体型 全ての身だしなみが出来ない選手は2軍行きだよ‼ 後 言葉使い 態度!!》

 自由でありながらも礼節を重んじる新庄の価値観が文面から滲み出ていた。

 現役引退から15年。表舞台から遠ざかっていた新庄は20年に12球団合同トライアウトに参加して注目されたが、野球人としてのブランクの長さが新庄の監督像を結ぶことを難しくしていたし、実際、登録名をBIGBOSSとして監督1年目を迎えた22年当初はナインも手探りだった。伊藤もそのひとりである。

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 ホークスとの初陣。開幕投手を務めたのがドラフト8位ルーキーの北山亘基なら、その後の継投で5回から投げたのが前年に先発で10勝を挙げた伊藤だった。プロ初の救援登板だけでも驚かされたが、翌日もつづいた常識破りの用兵は理解の域を超えていた。

「次の日はリリーフの堀瑞輝が先発しましたよね。あのとき、もしこれを1年間やると、どうなるんだろうって思いました」

新庄にボソッと言われた“約束”

 新庄にとっても新監督としてのデビュー戦である。エースを立てて、手堅く1勝目を狙いにいくのが常道だ。だが、この指揮官は「無難」という言葉からだれよりも遠いところにいる。21年11月の就任会見で1年目の戦いについて「優勝なんか一切、目指しません」と言い放った異端児である。開幕戦と2戦目の無謀にも映る投手起用は話題づくりではなく、3年連続5位と低迷するチームを再建するための荒療治だろう。まずは選手が持っている固定観念から壊す。新庄は采配を通じてメッセージを伝えていたのだ。

 戸惑いから始まった伊藤だったが、新庄の本心を知るのに時間はかからなかった。

 ふたりだけの約束を交わしたのはこの22年である。リリーフで開幕戦のマウンドに立った伊藤は登板2戦目以降、本来の持ち場である先発に戻り、白星を増やしていった。

 あるとき、新庄にボソッと言われた。

「今年、最低15勝。約束ね」

<続く>

#3に続く
届かなかった1勝…“パ・リーグ最多勝投手”伊藤大海がこだわる新庄監督との“果たせなかった約束”「監督ってポジティブにさせる天才なんです」
この連載の一覧を見る(#1〜3)

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