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「あの場面、あのサーブが回ってきた時…」小野寺太志がいま振り返るパリ五輪イタリア戦“最後のサーブ”「同じ1点でも意味合いが違うなと」
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藤森三奈(Number編集部)Mina Fujimori
photograph byJMPA
posted2025/03/29 11:10

人気動画シリーズ「Numberバレーボールナイト」で小野寺太志がパリ五輪イタリア戦の“最後のサーブ”について振り返った
小野寺 たくさんの方が期待してくださって、メディアの方も毎日入って練習していたんですが、それはプレッシャーには感じていませんでした。選手間のミーティングでも「僕らが目指すのは金メダルだよね」という意志統一をして、パリに向けての練習をスタートしていたので、それ自体がプレッシャーに結び付くということはありませんでした。
福澤 自分たちの中でやってきたことに自信があって、それを出せれば、メダルを獲れるだろうという考え方だったんですね。
小野寺 それまでいい結果を積み重ねてパリ五輪に臨めていたので、各選手が自信を持っていたと思います。
イタリア戦「最後のサーブ」を振り返ると…
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福澤 そうした中で、予選ラウンドでは石川祐希キャプテンの不調などいろんな困難がありましたが、チームとして乗り越えて、クォーターファイナルのイタリア戦を迎えました。私はベストオブベストな試合ができたんじゃないかなと思っています。ベストな試合ができてもなお、届かなかったあと1点というのがあった。選手一人ひとりに、あの時ああすればよかったというのがあると思う。小野寺選手の中にもあると思うんですが、話題にもなったイタリア戦の最後のサーブについて、当時の心境、状況などを振り返ってもらえますか。
小野寺 昨シーズンは、サーブの調子があまりよくなくて、狙って打てているけどミスになってしまうとか、なかなかいいサーブがいかないことをすごくプレッシャーに感じていました。イップスとまでは言いませんが、サーブを打つのが怖い時もあったので、心理学の先生に相談したりもしていました。
あの場面で、あのサーブが回ってきた時に、ここで入れに行くような簡単なサーブを打って点を取られても1点、この場面でちゃんと狙いを持って攻めていくサーブを打てるかどうかというのは、同じ1点でも意味合いが違うなと思ったんです。
バレーボールは良くも悪くも同じ1点しか動かないスポーツ。僕のサーブがどうであれ、1点しか動かないと思ってサーブを打てたので、そのプレーに関して後悔はしていません。結果としてミスになってしまったので、ああいうふうに言われるのはおかしくないとは思います。許されることではありませんが、僕は僕で仕方がない、僕の責任だと感じています。
福澤 いろんな背景がある中で、覚悟を持ってあの状況に立てるというのは、これまで積み重ねてきたものがあるからだ、と改めて思いました。私はそう感じますが、世間の捉え方にはギャップがありました。パリ五輪では、バレーボールだけでなくアスリートへの誹謗中傷、SNSの使い方が大きなニュースとなって取り上げられました。少し時間が経った今、それに対して思うところはありますか。
【続きは動画で見る】動画の完全版では、パリ五輪で問題になったSNSでのアスリートへの誹謗中傷に関する小野寺選手の考えや、ミドルブロッカーの面白さ、所属チーム、サントリーサンバーズ大阪の好調の理由、髙橋藍選手加入の影響など様々な話をしています。ファンからの質問にも答えてくれました。ぜひお楽しみください。
