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「日本サッカー特集号…とても売れたよ」フランス名門誌編集長がホンネで喜ぶ「クボはマンガで同僚と」「我々とドイツ、スペインに勝っただろ?」
text by

田村修一Shuichi Tamura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/03/28 17:01

8大会連続W杯を決めたサッカー日本代表。昨夏にフランス・フットボール誌が「日本サッカー特集」を組んだが、非常に好評だったという
「正直なところ、日本はヨーロッパで十分に知られてはいない。ただ、ヨーロッパでプレーする日本人の数が増え、レベルが上がっているのは間違いないし、W杯でも毎回何かの話題を提供している。少しずつ進化しているのも分かっている。カタールW杯ではドイツだけでなくスペインにも勝っただろう。注目度も徐々に増している」
――ただそうは言っても、特集のテーマとしては少々エキゾチックではないですか。
「たしかに日本はヨーロッパから遠く、日本で何が起こっているかはほとんど知られてはいない。かつてはアーセン・ベンゲルやフィリップ・トルシエがクラブや日本代表の監督を務め、バジール・ボリも浦和で活躍したが、今はそういう監督や選手もいない。アンドレス・イニエスタが晩年を過ごした国という程度の認識だ。インパクトという意味ではクリスティアーノ・ロナウドやカリム・ベンゼマが移籍したサウジアラビアや、リオネル・メッシが新天地を求めたアメリカの方が強い。また、親善試合ではパリのサンドニで日本代表がフランス代表を破ったこともあったが、その事実を忘れているフランス人の方が圧倒的に多いだろう。
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それでも若い世代を中心に日本への関心は高まっているし、日本を訪れるフランス人も増えている。訪問先としてはエキゾチックだが、マンガをはじめ日本文化はフランスにも浸透しつつある。日本に魅せられた人の数はまだ少ないが、日本文化への興味が掻き立てられているのは間違いない。私の世代ばかりでなく若い世代もだ」
とてもよく売れたし、高く評価されたよ
――サッカー専門誌やスポーツ誌が日本サッカーをこれだけ大々的に取り上げるのは、フランスに限らず欧米では初めてのことだと思います。
「その点はわれわれも名誉に感じている。現在、FF誌は月刊誌の体裁をとっている。以前は週刊誌で週2回発行の時代もあった。当時はアクチュアリティとより強く結びついていたが、月刊誌となってからはテーマの立て方も違ったものになった。
バロンドールの時期を除き、ひとつのテーマを深く掘り下げる。それが例えばイングランドであり日本だ。アルゼンチンのこともあればアフリカのこともある。10番の特集であることもある。月刊誌の特権であり、アクチュアリティとは別れを告げてテーマにこだわる。バロンドールの前にこうしたテーマで特集号を出すことに大きな意味がある。旅行気分にさせてくれるテーマでもある」
――冒頭に挙げた久保の記事(※第3回で抜粋にて紹介する)などだけではない視点で、他では見たことがないです。
「結果も良かった。とてもよく売れたし、反響も悪くなかった。フランスでの売れ行きはよく高く評価された」〈つづきは第3回〉
