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「ウルトラマンに憧れて」那須川天心が語った“ボクシングと社会貢献”「怖いスポーツだし残酷…でも人間ってものが詰め込まれている」
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/02/11 11:00

HEROs AWARD 2024を受賞した那須川天心。ボクシングと社会貢献について語った
「関係ないっしょ気持ちっしょ」のフレーズは学校の体育祭スローガンとなるなど若者の間でバズッた。周りがどう思おうとも、状況がどうであっても自分の気持ち次第だという前向きな姿勢の極意を伝えるべく、“かんきも展”を東京、大阪などで開催すると老若男女問わず多くのファンが詰めかけた。ナントカナルサ、ユルセルツヨサ、ウツワノデカサ……自ら言葉を書き記し、心の目で自分の気持ちを想像してみてください、とのメッセージを添えた「気持ち」とタイトルをつけた何も入ってないガラスケースもあった。彼自身もなるべく会場に足を運ぼうとした。
「言うこと、(SNSなどに)書くことすべて本気でやってます。でも僕にまったく興味のない人に対して押しつけたらダメじゃないですか。あくまで興味がある人に対して誠心誠意で応えるということをずっと意識しています。僕はこれを“神社スタイル”って呼んでいるんですけど、自分に興味なり関心なり持ってわざわざ来てくれる人の心がちょっとでも豊かになればいいなって。
でも人が答えみたいなものを欲しがっていても、全部それを言ってしまうとダメだと思うんです。考えなくなってしまうじゃないですか。ヒントみたいなことでいいと思うんです。子供と接するときもそうですよ、あれもいいじゃん、これもいいじゃんっていろんな選択肢を示して、考えてもらうことが大切なんじゃないかって思うんです」
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イベントや交流を通じ、たくさんの人と触れ合ってきたなかで、うれしかったエピソードがあるという。
「妊婦さんに『あと2週間で赤ちゃんが産まれるんです。お腹を触ってもらえませんか』とお願いされて、お腹に手を当てて全力で“元気な赤ちゃんが産まれますように”と祈ったんです。そうしたらあとでメッセージが届いて、天心さんに触ってもらった次の日に元気に産まれましたと。めっちゃ自分、パワーあるじゃんって思えましたよ」
「自分は一生、那須川天心ですから」
那須川が願うのは一人ひとりが自分らしい生き方を見つけられる社会。天心ファミリープロジェクトをはじめとする社会貢献活動が評価され、昨年12月に「HEROs AWARD」を受賞した。だが本人に社会貢献活動をしているという意識はまったくない。