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「次はイノウエがアメリカに来る番だ」“井上尚弥に衝撃KO負け”から1年半…あのフルトンが完全復活「熱血トレーナーが再戦希望」
posted2025/02/04 11:05

WBC世界フェザー級王者のブランドン・フィゲロア(右)に判定勝ちを収めたスティーブン・フルトン
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杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Getty Images
「いい気分だ。私は再びチャンピオンだ。私を疑っていた皆さん、ネガティブなことでもポジティブなことでも、これまでと同じように私をサポートし続けてほしい」
2階級制覇を達成した直後、通称“クールボーイ・ステフ”がリング上で残した言葉を聴いて、どこか懐かしさを感じたファンは少なくなかったのかもしれない。
日本で井上尚弥に惨敗してから約18カ月。いつでもクールに決めることにこだわるスティーブン・フルトンらしさがようやく戻ってきた。
フィゲロア優勢の予想を覆す復活劇
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現地時間2月1日、ラスベガスのT-モバイルアリーナで行われたWBC世界フェザー級タイトル戦で、元WBC、WBO世界スーパーバンタム級王者のフルトンは、王者ブランドン・フィゲロアに3-0(116-112×2、117-111)判定勝ち。約3年前に僅差の判定勝ちを収めたフィゲロアとの再戦をより明白な形で制すとともに、スーパーバンタム級に続く2階級目のタイトルを手に入れてみせた。
今回のフィゲロア戦前、フルトンは不利との見方が一般的だった。ご存知の通り、2023年7月の来日戦では井上に2度のダウンを奪われてのTKO負けで、世界王座から陥落。さらに昨年9月、フェザー級に上げて迎えたカルロス・カストロ戦では2-1での判定勝利は収めたものの、痛烈なダウンを奪われての大苦戦だった。この2戦の内容を思い返せば、“フルトンは30歳にしてもうピークを過ぎたのではないか”と疑われても仕方がなかったのだろう。
しかし――久々の世界タイトル戦となったフィゲロアとの再戦では、的確なパンチとディフェンスのうまさでポイントを稼ぐ従来のファイトスタイルが蘇った。ジャブ、シャープな左右をクリーンヒットすると、終盤はクリンチワークも駆使。手数の多さとバイタリティに定評があるフィゲロアに最後までペースを与えなかった。
このフルトンらしいパフォーマンスを振り返り、前チーフトレーナーであるワヒード・ラヒームはしてやったりの様子だった。試合後に明かしてくれたファイトプランからは、“原点回帰”の戦いだったことが見えてくる。