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「ウルトラマンに憧れて」那須川天心が語った“ボクシングと社会貢献”「怖いスポーツだし残酷…でも人間ってものが詰め込まれている」
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/02/11 11:00
HEROs AWARD 2024を受賞した那須川天心。ボクシングと社会貢献について語った
「別にナチュラルに思ったことをやっているだけなので。こっちから何か元気を与えたいと思っても、逆にパワーをもらえたりしますからね。自分は一生、那須川天心ですから」
真剣な眼差しを向けて、そう語った。
強くてかっこいいだけではウルトラマンになれないが、強くてかっこいいが抜け落ちてしまってはウルトラマンになれないのもまた事実。キックボクシングで42戦全勝を誇った「神童」は、ボクシングに転向してからも5戦5勝(2KO)と日本人ボクサーが世界王座を独占するバンタム級で着実にレベルアップを図っている。現在WBA2位、WBC3位、WBO3位、IBF14位と4団体すべてランク入りを果たしており、2025年の世界挑戦が現実味を帯びている。
「世界に通用するか、しないか」がわかる試合
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その那須川は2月24日、東京・有明アリーナで前WBO王者ジェーソン・モロニー(オーストラリア)と10回戦を行う。モロニーから王座を奪ったのが那須川と同じキック出身の武居由樹であり、結果と内容次第で武居との対戦が一気に近づく可能性がある。
「Prime Video Boxing 11」の会見に応じた那須川。元WBO王者ジェーソン・モロニーとの対戦が決まっている ©︎AFLO【那須川天心 ボクシング第6戦 2/24(月・祝)@有明アリーナ プライムビデオにて独占ライブ配信】
那須川が世界チャンピオンクラスと戦うのは初めて。今の実力とポジションが明確に分かる一戦にもなる。
「ボクシングでデビューしてからもうすぐ2年。日々向上心を持ってちょっとずつでも成長したいという思いでやってきています。練習でも日によって良いときもあれば、悪いときもある。波を繰り返してきたわけですけど、その大きな波が小さな波に変わってきたなって実感できている。そういう状況で、モロニー選手と試合ができる。ボクシングを好きな人ならみんな知っている選手だし、相手として申し分ない。自分がどこまでできるかそれだけ。世界に通用するか、しないかが分かる試合になると思います」
34歳のモロニーはスピードとテクニックがあり、試合巧者としても知られる。かつスタミナがあってタフで、武居戦では最終12ラウンドで驚異的なラッシュを披露してあわやストップというところまで逆に追い込んでいる。難敵であることは言うまでもない。
「トータル的に何でもできるっていう選手なのかなって感じます。いろんなところに気をつけなきゃいけないけど、でも僕のなかではそれって凄く崩しがいがあるなって。相手が試合巧者だと言っても、僕はキックのときから頭脳戦で負けたことがない。アンテナを張り続けながら、頭を使いながら、どうやって崩していくか。もうそこは楽しみでしかないですね」
今回も天心ファミリープロジェクトの一環で多くの子供たちを招待する予定だという。
自分の勝利を喜んでくれる人がいる、力に変えてくれる人がいる。そんな人がいる限り、那須川天心はリアルウルトラマンの道を突き進んでいく。

