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「まさかの失速…レース後に号泣」箱根駅伝“あの天才ランナー”吉居大和22歳の今「臆病になっていた」…本人に聞いた「マラソン挑戦の時期は?」
text by
田中仰Aogu Tanaka
photograph byJMPA
posted2025/01/18 11:06
2022年箱根駅伝1区。独走で区間新を叩き出した吉居大和(当時・中央大2年)
「僕は小さい頃から箱根のファンだったわけでもないですし。注目されるために箱根に出たわけでも、オリンピックに出たいわけでもないので、目立てないからモチベーションが落ちるとかはないですね。
ただ、箱根である程度走れたというか、結果を残すことができた。なので、1区で抜け出した時のような走りを求められることは理解しています。そこはたしかに難しさがありますね。まあ結局は、ニューイヤーでも区間賞を取って、世界大会に個人でも出場するような選手になることが一番の解決策だとは思うんですけど」
1区でトップと13秒差の12位。ニューイヤー駅伝の走りを本人はどう捉えているのか。吉居の言葉を借りれば、「抜け出す必要がなかった」。その理由に、学生駅伝界の中央大と、実業団界のトヨタ自動車、2チームのポジションの違いがあるのだと言う。
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「ラストで先頭のペースがぐいっと上がりました。そこに対応できなかった。(レース展開については)トヨタは優勝を狙うための1区なんです。対して中大は、絶対に勝たないといけないというチームではない。だから箱根でも思い切ったレースができた。その違いはあります。今は飛び出すリスクを負う必要がないというか、それよりもレースを制御したいというか……」
トヨタ1年目を振り返る
中央大を卒業して、間もなく1年が経つ。思えば大学時代は、本丸に定めていたトラック(5000m)で伸び悩み、ロード(駅伝)で結果が出た。トヨタ自動車の1年間をこう振り返る。
「去年の1月、2月は体調を崩すことが多かったのと、運転免許の取得もあって、あまり練習ができなかったんです。トヨタで練習を始めたのは3月で、そこからトラックを中心に練習していました。4月に3週間ほどの研修期間を挟んで、6月まで大会期間。とはいえ、いい走りはできずでした。パリ五輪をかけた日本選手権も、出場権を狙えるという感じではなくて。だから、8月くらいからですね。練習の消化率が上がってきて、今日までいい感覚で練習を積めています」
9月、日本選手権から3カ月ぶりのレースとなった全日本実業団対抗選手権で1万mを好走すると、10月の中部実業団選手権で日本人トップの4位。27分58秒79と、初の“27分台”に足を踏み入れた。大学時代に苦しんだトラックで手応えを掴もうとしていた。