第101回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER

〈立教大学〉「流れを変える選手」としてチームを牽引する馬場賢人(3年)の、エースが集う2区に挑むための決意

posted2024/12/19 10:01

 
〈立教大学〉「流れを変える選手」としてチームを牽引する馬場賢人(3年)の、エースが集う2区に挑むための決意<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

3年生ながらエースとしての自覚を持ち、箱根駅伝に挑む馬場

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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Nanae Suzuki

「流れを変えられる、ゲームチェンジャーがエースだと思います」

 エースの定義について、立教大学の髙林祐介監督は、そう語る。

 前回大会では、第99回大会で55年ぶりに箱根駅伝出場を決めて以来、初めて立大にエースらしいエースが誕生した。それが関口絢太(現SGH)だった。箱根駅伝10区3位と好走し、立大のエースはかくあるべしという走りを見せた。その関口が「今後の立大を背負う存在」として期待していたのが林虎大朗(4年)と馬場賢人(3年)、國安広人(3年)だった。

 その中のひとり、馬場が今季エースとして期待されていると感じたのは、全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会だった。林と國安が3組に出走したのに対して、馬場は留学生や各チームのエース級の選手が集う最終の4組に出走。20位にまとめ、総合5位という結果で立大初の全日本大学駅伝出場権獲得に貢献した。さらに箱根駅伝予選会でも季節外れの暑さのなかフリーで走り、63分56秒の15位でチームがトップ通過する一助となった。

 馬場はこの時、「エースの自覚」を口にした。

「自分のやるべき仕事を全うできたと思います。自分がエースだという自覚を持っている以上、他校の格上の選手ともしっかり戦っていかないといけない。この予選会では物怖じせずに戦えました」

エースに求められる役割

 今季の馬場は基本的にはこれまでと同じ練習を継続してきたが、例年以上に距離を踏み、長い距離をしっかり走れるように地力をつけることに取り組んだ。それにより、もともと備わっていたスピードも伸び、相乗効果で走力が上がっていった。課題だったラストスパートにも向き合った。それらがうまくミックスされ、箱根駅伝予選会での堂々とした走りにつながった。

 その2週間後の全日本大学駅伝前、髙林監督は馬場の成長を認めつつも厳しい口調でこういった。

「馬場はエースとしてはもうちょっとです。林や國安がいる中で、彼らの上に行きかけているんですけど、もうちょっと頑張ってほしい。その意味で全日本大学駅伝でどういうレースができるか。流れを変え、順位を決定づけられるレースができるのか。最後、馬場に渡せば何とかしてくれるという風になるのか。可能性を秘めた選手なので期待はしていますが、その力を見せてほしいと思います」

 髙林監督は、馬場をエースとしてまだ完全には認めていなかった。

 馬場は全日本大学駅伝で篠原倖太朗(駒澤大学4年)、太田蒼生(青山学院大学4年)、平林清澄(國學院大學4年)という各大学のエースと競う7区に配置された。戦略的な理由が一番だろうが、エースとしての“試験”の意味合いも多少はあったのかもしれない。「もうちょっと」を埋め、エースの称号を勝ち取るために、結果が求められた。

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