第101回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER
〈順天堂大学〉復活のエース・浅井皓貴(4年)を中心に、狙うは箱根駅伝予選会10位からの下剋上
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byNanae Suzuki
posted2024/12/12 10:00
長引いた怪我も癒え、箱根駅伝本大会での活躍を期す4年生の浅井
夏合宿が始まっても、浅井はチームの練習に合流できずにいた。ようやく復帰したのは8月中旬。箱根駅伝予選会が2か月後に迫っていた。
「8月に入ってからちょっとずつ走れるようになったんですけど、夏合宿の途中まで参加できていませんでした。予選会に間に合うか、本当にギリギリだったんですけど、約2か月間、4年生としてしっかり覚悟を決めて、一日いちにちを大切に後悔のないように練習をやってきました。何がなんでも予選会を勝ち切って、箱根駅伝でしっかりリベンジをするっていうのを決めていたので」
約3か月間も走れない期間があったにもかかわらず、箱根駅伝予選会ではそのブランクを感じさせない走りを見せた。季節外れの暑さに苦しむ選手が多いなか、浅井のタフさが光った。
「公園(国営昭和記念公園)に入るまではなるべく余裕を持って、公園内に入ってからどれだけ粘って、タイムを稼げるか。とにかく暑さにやられないように、体力を温存して走るってことを意識していました」
そのプラン通り、レース後半に入って落ちてくる選手をひとりずつ抜き去り、順位を上げていった。そして、日本人2位となる14位で走り切った。
順大はレース後半に苦戦し、残り約1kmの時点では東農大に先行を許していた。それだけに、浅井の終盤の走りはかなり大きかった。
「苦しいところでしっかり粘って、タイムを稼ぐっていう役割を果たせた。今の自分の力は出せたかなと思っています」
チームのピンチを救うエースの走りだった。浅井の最後のひと踏ん張りがなければ、結果は違っていたかもしれない。
下剋上へ虎視眈々
順大は総合優勝11回を誇る名門だが、今回は予選会10位。つまり本選に出場する20校のうち20番目からの挑戦となる。しかしながら、浅井の他にもタレントは豊富だ。
5000mの日本高校記録保持者である吉岡大翔(2年)は、箱根駅伝予選会では98位と苦しい走りになったが、11月に10000mの自己記録を更新し調子を上げてきている。さらに、ルーキーの玉目陸は、12月1日の甲佐10マイルでパリ五輪男子マラソン代表の小山直城(Honda)らを破って優勝を果たした。夏にケガをし箱根駅伝予選会は欠場したが、本選を前に復活を見せた。
今季チームが掲げる“下剋上”を果たすための、戦力は整いつつある。
過去にも順大は、第88回箱根駅伝で予選会最下位通過から総合7位と躍進を果たした実績があり、その再現は十分に可能だろう。
浅井にとっては、1年前の雪辱を果たす舞台。本選でもエースとしての走りを誓う。
「これが最後の箱根駅伝なので、しっかりリベンジをして、今度はみんなで笑って終われるようにしたいです」